ランサムウェア攻撃を防ぐには?ネットワークを守る5つの実践的対策

ランサムウェアがネットワークに影響を与えるのを防ぐ方法 ColorTokens【公式】

本記事では、アメリカのサイバーセキュリティ企業 ColorTokens(カラートークンズ)社が発信しているセキュリティ情報(英文)を、日本の代理店である株式会社電巧社が許諾を得て日本語に翻訳し、要約して掲載しています。

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ランサムウェアがネットワークに影響を与えるのを防ぐ方法

ランサムウェア攻撃は進化を続けており、ヘルスケア、エネルギー、金融、保険など、あらゆる業界のあらゆる規模の組織を標的にしています。

これらの攻撃手法はさまざまですが、その中心的な目的は共通しています。重要なシステムを暗号化するか、機密データを窃取して、身代金目的の恐喝を行うことです。

こうした脅威に先手を打つために、ColorTokensの脅威アドバイザリーチームは、最近のランサムウェア事例の詳細な分析、専門家による解説、実行可能なベストプラクティスを含む包括的な脅威インテリジェンスブリーフを発表しました。

以下では、注目すべき侵害の例を紹介し、ネットワークをより効果的に保護するために実施できる具体的なステップを概説します。

ランサムウェア防御のための教訓

1. Oracle Healthにおけるヘルスケア分野の侵害

  • 発生したこと:脅威アクターが、不正に取得された認証情報を使って、レガシーCernerのデータ移行サーバーにアクセスし、患者情報を窃取しました。 
  • ランサムウェアの観点で重要な理由:ヘルスケアシステムは極めて機密性の高いデータを保有しています。
    犯罪者がこれらのネットワークに気付かれずに侵入できれば、ランサムウェアを展開することで病院の業務を麻痺させ、職員や患者は恐喝要求に屈するしかなくなります。
    この侵害は、ネットワークに適切なセグメンテーションとタイムリーな監視がなければ、攻撃者の足がかりがいかにすぐに大規模な混乱に発展し得るかを思い出させるものです。

2. IKAVにおけるエネルギー分野のデータ侵害

  • 発生したこと:エネルギー企業IKAVにおいて、機微な個人情報への不正アクセスが発生しました。 
  • ランサムウェアの観点で重要な理由:エネルギー業界では、パッチ適用やセグメンテーションが難しいOT(運用技術)システムに依存していることがよくあります。
    攻撃者がデータ窃取からOT資産へのランサムウェア展開へと移行すれば、業務停止の可能性は甚大です。
    このことは、ITとOTの両ネットワークを堅牢に保つことの重要性を強調しています。

3. Word & Brownにおけるデータ侵害

  • 発生したこと:第三者が従業員のワークステーションに不正アクセスし、健康保険に関するデータが漏えいしました。 
  • ランサムウェアの観点で重要な理由:たった1つの侵害されたエンドポイントが、より大規模な攻撃の出発点になり得ます。
    もしこの侵入にランサムウェアのペイロードが含まれていた場合、何百人もの従業員や顧客が影響を受けていた可能性があります。
    この事例は、強力なエンドポイントセキュリティと、異常な活動を素早く発見・報告できる従業員教育の必要性を示しています。

4. OTシステムを狙う高度なLinuxバックドア

  • 発生したこと:OrpaCrabと名付けられたバックドアは、MQTTのような秘匿プロトコルを用いて防御をすり抜け、ガソリンスタンドのインフラに侵入しました。 
  • ランサムウェアの観点で重要な理由:悪意あるアクターはこうした秘匿技術を応用して、産業ネットワーク内でランサムウェアを拡散させることが可能です。
    検出を回避する高度なマルウェアこそが、現代のランサムウェアの成功を支えています。
    攻撃者が決済システムや燃料供給の運用を制御するようになれば、恐喝や広範な混乱の舞台が整うことになります。

5. Oracle Cloudにおける侵害

  • 発生したこと:脅威アクターが、Oracle CloudのSSOおよびLDAPから600万件のレコードを盗んだと主張しており、これは古いOracle Fusion Middleware環境に存在する重大な脆弱性が原因であった可能性があります。 
  • ランサムウェアの観点で重要な理由:大規模な認証情報の流出は、何万ものテナントネットワークにランサムウェアを展開するために再利用されるおそれがあります。
    この事例は、攻撃者が認証情報の窃取からランサム型侵入キャンペーンへと迅速に移行できることを明らかにしています。

これらの事例は、内容こそ異なりますが、データ窃取や不正アクセスといった観点から、どの組織であっても、脆弱性への対応や堅牢なセキュリティ対策を怠れば、いかに脅威にさらされるかを物語っています。
サービスの呼び出し、インターネット上のDNSの利用などが挙げられます。

ランサムウェアを防ぐための重要な戦略

A. パッチ適用

  • 重要な理由:最近の多くの侵害では、既知の脆弱性が悪用されています。
    ColorTokensの脅威アドバイザリーチームによると、Windows NTFS(CVE-2025-24993)やGoogle Chromium(CVE-2025-2783)を含む複数のCVEが報告されています。
    これらの脆弱性が未修正のままだと、攻撃者はそれを利用して侵入し、ランサムウェアをインストールする可能性があります。 
  • 実行可能な対策:重要度の高いパッチを優先するスケジュールを維持してください。
    特に深刻度が高い、または既に悪用が確認されている脆弱性については、パッチの適用を遅らせないでください。
    プリンター、サーバー、クラウドワークロードを含むすべてのエンドポイントに修正が適用されていることを確認しましょう。

B: マイクロセグメンテーションの導入

  • 重要な理由:攻撃者がネットワークに侵入すると、より高い権限や多くのデータを求めて横方向に移動することがよくあります。
    マイクロセグメンテーションを行うことで、侵害を限られたゾーン内に閉じ込めることができます。 
  • 実行可能な対策:まずは最も機密性の高いデータ保管場所から始めましょう。
    例えば、医療業界なら患者記録、金融業界なら財務システムを、一般ユーザーのトラフィックから隔離してください。
    厳格なファイアウォールルールとアクセス制御を設定することで、例え一部のセグメントが侵害されても、それ以外の環境を安全に保つことができます。

C. ゼロトラストアーキテクチャの実装

  • 重要な理由:いかなるユーザーやデバイスも本質的には信頼できないと仮定するのがゼロトラストの原則です。これはランサムウェアのリスクに対応する上で特に重要です。 
  • 実行可能な対策:すべての特権アカウントに対して多要素認証(MFA)を強制してください。ユーザーの行動を監視し、リスクシグナル(例:異常なログイン時間や地理的異常)に基づいて動的にアクセスを調整しましょう。
    また、ネットワークトラフィックにゼロトラストポリシーを適用するためにマイクロセグメンテーションを導入し、マルウェアやランサムウェアの横方向の拡散を阻止しつつ、許可されたトラフィックのみを通過させるようにしてください。

D. エンドポイントの検知と対応(EDR)を強化する

  • 重要な理由:ランサムウェアは通常、侵害されたエンドポイントから始まります。迅速な検知が攻撃の拡大を阻止する鍵となります。 
  • 実行可能な対策:突発的なファイル暗号化やログイン失敗の繰り返しなどの異常を追跡できる高度なEDRソリューションを導入してください。
    これらのツールは、スタッフの教育と併用することで、疑わしい行動が即座に報告されやすくなります。

E. データを安全かつ定期的にバックアップする 

  • 実行可能な対策:バックアップは本番ネットワークから分離されたオフサイトやクラウド環境に保存しましょう。
    定期的に復元テストを行い、バックアップの信頼性を確認してください。
  • 重要な理由:どれだけ優れた防御を構築しても完全ではなく、バックアップは最後の砦です。
    ランサムウェアに感染した場合、隔離されたバックアップがあるかどうかで、短期間の危機で済むか、長期的な被害に発展するかが分かれます。 

実際のインシデントから得た教訓をランサムウェア防御に活かす

インシデント対応を調整する

Oracle Healthのケースでは、組織側が不完全または不明瞭なコミュニケーションに不満を表明しました。

ランサムウェア攻撃中には、タイムリーで透明性のある情報共有が、チームによる効果的な対応と被害軽減に繋がります。

明確なインシデント対応計画を策定しましょう——誰が誰に連絡するか、どのシステムをオフラインにするか、情報の流れはどうするかを事前に決めておくことが大切です。

特に医療や保険などの規制業界では、違反通知やコンプライアンスが法的リスクになるため、透明性は特に重要です。

認証情報のアクセスを監視する

IKAVの侵害やOracle Cloudのインシデントは、攻撃者がユーザーのログイン情報をいかに容易に悪用できるかを浮き彫りにしました。

環境全体でサインインの傾向を追跡してください。

ログイン試行の急増やパスワード失敗の波が見られたら、ランサムウェアの初期侵入段階である可能性があります。

レガシーシステムを強化する

旧Cernerサーバーをクラウドに移行する場合や、古いOracle Fusion Middlewareを運用している場合は、すべてのレガシーソフトウェアに対してリスク評価を徹底してください。

パッチを適用するか、放置せずに廃止しなければ、ランサムウェアの初期攻撃の標的になる可能性があります。

セキュリティ意識の高い文化を育てる

Word & Brownの侵害は、たった一人の従業員の端末が侵害されただけで、攻撃者にチャンスを与えてしまうことを教えてくれました。

だからこそ、継続的で魅力的なセキュリティ教育が重要なのです。

人は、フィッシングメールやソーシャルエンジニアリングといった、ランサムウェアのよくある侵入経路に対する最初の防波堤です。

将来を見据えたアプローチをとる

いかなる組織も、ランサムウェアに対して完全な免疫を持つことはできません。

成功の鍵は、階層的な防御を築くことにあります——定期的なアップデート、ゼロトラストポリシー、マイクロセグメンテーション、そして確実なバックアップです。

こうした対策は、実際の侵害事例に学びながら、リスクと被害を最小限に抑える助けとなります。

警戒、連携、そして実績ある戦略を組み合わせることで、ランサムウェアの脅威に立ち向かうネットワークの強化が実現できるのです。

ColorTokensがどのように支援できるか知りたい場合は、ColorTokens(カラートークンズ)公式サイトからお問い合わせください。


翻訳元記事
How to Prevent Ransomware from Affecting Your Network
最終更新日:2025/7/1
著者:Tanuj Mitra


Denkosha

この記事の著者:電巧社セキュリティブログ編集部

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