【お知らせ】ColorTokens Field CTOが日本でセミナーに登壇
ColorTokens社のField CTOであるVenky Raju(ヴェンキー・ラジュ)氏と、電巧社のセキュリティ・アナリストが対談するセミナーを10月22日(水)に開催します。
詳しくは、イベント・セミナー情報からご確認ください。
医療・エネルギー・製造業におけるマイクロセグメンテーション:IoMT、OT、工場などに合わせたセキュリティの最適化
現代のサイバー脅威はどの業界も例外ではありませんが、医療、エネルギー/公益事業、製造業においては特に深刻なリスクをもたらします。
これらの分野では、ネットワークが侵害されると、患者の命が危険にさらされたり、インフラが不安定になったり、生産ラインが停止したりするおそれがあります。
ネットワークを分割して孤立したセグメントにするマイクロセグメンテーションという手法は、ラテラルムーブメント(水平移動)を制限し、攻撃者がシステム全体に拡散するのを防ぎます。
医療分野のInternet of Medical Things(IoMT)、エネルギー分野のオペレーショナルテクノロジー(OT)、製造業などにおいて、マイクロセグメンテーションは急速に基盤となるセキュリティ対策となりつつあります。
医療とIoMT:脅威の封じ込めと患者の保護
過去数年間で、アメリカ国内の複数の大規模な病院システムがランサムウェア攻撃を受け、電子カルテが使用できなくなったり、患者の治療が遅れたりする事態が発生しました。
一部の施設では救急車の迂回を余儀なくされ、予定手術の中止や紙の業務フローへの切り替えが行われました。
こうした混乱は、マルウェアの拡散を封じ込め、重要なシステムへのアクセスを制限する必要性が緊急であることを浮き彫りにしています。
マイクロセグメンテーションは、IoMT機器、例えば輸液ポンプ、人工呼吸器、診断機器などを、ITのワークステーションやインターネットに接続されたアプリケーションとは別のセキュアなゾーンに分離することで支援します。
管理者用端末が侵害されるなどして侵入ポイントが突かれた場合でも、セグメンテーションポリシーにより、マルウェアが接続された医療機器に到達するのを防ぐことができます。
米国保健福祉省(U.S. Department of Health and Human Services)は、特に未管理デバイスやレガシーデバイスが多い環境において、ネットワークセグメンテーションを基本的な防御策として引き続き推奨しています。
現実的な導入方法としては、エージェントレスなセグメンテーション、堅牢なアセットディスカバリー(資産の可視化)、臨床ワークフローに干渉することなく重要なシステムを分離することなどが含まれます。
このアプローチは、HIPAAの遵守と患者ケアの継続の両方を支援します。
エネルギーと公益事業:グリッドのレジリエンス強化
2024年初頭、アメリカ中西部の中規模エネルギー事業者がサイバー攻撃の標的となり、脅威アクターがフィッシングメールを通じてエンジニアリング用ワークステーションへのアクセスを得ました。
攻撃者はITシステムに到達しましたが、運用には支障は生じませんでした。
これは、企業ネットワークとオペレーショナルテクノロジー(OT)システムを分離するセグメンテーション制御によって、グリッド運用の安全性と整合性が確保されていたためです。
この事例は、多くのアメリカの公益事業者がインフラにレジリエンスを組み込むためにゼロトラスト・マイクロセグメンテーションを導入している理由を裏付けるものです。
北米電力信頼性協議会(North American Electric Reliability Corporation)の重要インフラ保護(NERC CIP)標準のような規制フレームワークでは、電力会社に対して重要なサイバー資産の分離と、IT環境とOT環境の間での厳格なアクセス制御を求めています。
セグメンテーション戦略には、DMZ(非武装地帯)の設置、変電所やSCADA環境の周囲に境界を定義すること、そして不正な挙動に対するトラフィックの監視などが含まれることが多くあります。
多くの組織は、レガシー環境全体で動作可能なエージェントレスツールを導入しており、停止時間なしにリアルタイムでの可視化を可能にしています。
これは、サービスの中断が数百万人に影響を及ぼす可能性があるこの分野において極めて重要です。
製造業:生産ラインの継続と知的財産の保護
2023年、アメリカに拠点を置く自動車部品メーカーがランサムウェア攻撃を受け、企業のITシステムが混乱し、物流および財務部門の業務が一時的に停止しました。
しかし、生産ネットワークがマイクロセグメンテーションによって分割されていたことで、マルウェアはPLC(プログラマブルロジックコントローラー)や工場内の機械には到達しませんでした。
ITシステムの復旧が進む中でも、生産ラインは限定的ながら稼働を継続することができました。
このような事例は決して珍しいものではありません。
IBM X-Force Threat Intelligence Indexによると、製造業は3年連続で最も攻撃対象となった業界であり、同業界で発生したインシデントの約60%が、ランサムウェアやOT環境へのラテラルムーブメントの試みに関係していました。
マイクロセグメンテーションは、CNC工作機械、ロボット制御装置、研究開発用サーバーなどの重要なシステムを、企業内の他の部分から隔離することで支援します。
製造業者は、生産セルを囲む形でセグメント化されたゾーンを作成することから始め、知的財産を扱う環境を分離し、ERPデータ転送用の明確なゲートウェイを設けることができます。
このような封じ込めにより、人事部門や財務部門で侵害が発生しても、それが工場全体に波及するのを防ぐことができます。
生産スケジュールが厳しく、セキュリティ人員が限られている組織にとっては、段階的な導入やトラフィックの可視化マッピングによって、実装を現実的なものにすることが可能です。
NIST SP 800-82のガイドラインと組み合わせることで、マイクロセグメンテーションはコンプライアンス対応と長期的なサイバー・レジリエンスの向上にも貢献します。
重要分野における戦略的優位性
病院で患者の命を守ることから、電力網の安定稼働、製造業の継続的な運転に至るまで、マイクロセグメンテーションは、リスクの高い業界におけるサイバーセキュリティの現代的なアプローチを提供します。
ラテラルムーブメントを最小限に抑え、システム全体の可視性を高めることで、仮に攻撃者が足がかりを得たとしても、その被害範囲を封じ込めることができます。
適切に設計されたマイクロセグメンテーションは、システムの稼働時間を維持し、機密データを保護し、サイバー攻撃を受けた際の業務継続性と復旧能力を強化します。
ColorTokensがマイクロセグメンテーションの導入をどのように支援できるかについてご興味がある方は、ぜひColorTokens(カラートークンズ)日本語公式サイトからお問い合わせください。
公開日:2025/7/29
著者:ColorTokens Editorial Team
※本記事では、アメリカのサイバーセキュリティ企業 ColorTokens(カラートークンズ)社が発信しているセキュリティ情報(英文)を、日本の代理店である株式会社電巧社が許諾を得て日本語に翻訳し、要約して掲載しています
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この記事の著者:電巧社セキュリティブログ編集部