DEレポートNo.61
大型クラゲの大量発生と有効活用について
対象のSDGs目標

【著者コメント】
大学の卒業論文としてエチゼンクラゲの生態に関するものを作成しました。
2006年当時、大型クラゲの大量発生が社会問題になっていて、毎日のようにニュースで放送されたのを覚えています。
近年再び大量発生が起きていることを知り、本テーマを選びました。
あまり身近ではない生き物ですが、興味を持って頂ければ幸いです。
脱炭素経営ドットコムでは、中小企業様の脱炭素経営への第一歩を支援しています。
これから脱炭素経営を始めたい中小企業向けアクションプラン資料もございますので、ぜひご活用ください。
1.大型クラゲ日本襲来
- 2024年は日本海沿岸で大型クラゲが大量発生している
- 原因は温暖化による水温上昇、クラゲの幼体が生まれる中国沿岸の富栄養化などが考えられる
- 漁船の網に魚と一緒にかかることで、魚がダメになったり、網具がこわれたりする
→ 大型クラゲとは何か?
2.そもそも、大型クラゲとは
- 大型クラゲの代表種といえば「エチゼンクラゲ」。
中国沿岸で生まれたクラゲの幼体が、日本海沿岸の海流に乗って移動しながら成長し、大型化する。
ちなみにプランクトンというと目に見えないような小さい生物を想像するが、プランクトンとは、魚のような自由な遊泳能力をもたない生物のことをいうので、重量100kgを超えるような大型クラゲもプランクトンに分類される - 2005年、2009年に大量発生し、2024年にも過去10年間なかったような規模で大量発生している
→有効活用は十分可能である
3.大型クラゲを食べて消費できないのか
- 体重の96%以上が水分。エチゼンクラゲを例にすると可食部100g当たり(塩蔵)、エネルギー 21Kcal、水分 94.2g、蛋白質 5.2g、脂質 0.1g、炭水化物 微量、灰分 0.5g
- 中国では「沙海月」と呼ばれ、塩蔵(水抜き)はもちろん、生でも食べる
- ただ、水抜き処理が手間なことや、日本近海で定量的に取れるわけではないため、産業化しておらず、現在日本国内では食用として、あまり認識、流通されているとは言いづらい
→食べる以外でも様々な研究が進んでいる
4.有効利用できないのか
- エチゼンクラゲのたんぱく質はコラーゲンが主な成分で水溶性のため高い吸湿力、保湿力を持つ。
そのほかに動物性粘性物質(ムチン型糖タンパク質)が含まれる。
ムチンは抗菌や保湿の効果を持ち、人間の体内でも重要な役割を果たしている。 - ムチンは人工的に作るのが難しく研究が進んでいなかったが、大型クラゲからクニウムチンが発見されたことから、化粧品や関節治療など の分野で研究、開発が進められている
- 大型クラゲの商業ベースでの有効活用はこれからだが、同じ厄介者のミズクラゲのコラーゲンを利用した化粧品がすでに販売されている
- 大型クラゲも研究が進めば、化粧品や医薬品として手に取る日がくるかもしれない
→厄介者が様々な分野での救世主になる日が、もしかしたら来るかもしれない
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DEレポートとは?
「DEレポート」とは、環境やSDGsに係る社会問題を取り上げ、原因・背景から解決に向けた施策事例や将来の展望までを調査しコンパクトにまとめた報告書(レポート)です。
脱炭素経営ドットコムを運営する株式会社電巧社では、社名のアルファベット表記(DENKOSHA)の頭文字から名付けられた本レポートの作成に、全従業員で取り組んでいます。
配信場所: 脱炭素経営ドットコム 及び 株式会社電巧社HP(https://de-denkosha.co.jp/)
配信頻度: 月2本配信中


