2022年1月19日

地球温暖化防止策として有効な「カーボンプライシング」とはどんな制度?分かりやすく解説

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脱炭素社会実現のために、政府は様々な方策を検討しています。

そのうちの一つである「カーボンプライシング」は、昨今話題となっています。

ニュースで目や耳にしたことがある、という方は多いのではないでしょうか。

 

直訳すると「炭素の価格設定」という意味で、欧州を中心に世界各国で導入されています。

このカーボンプライシングは、どのような制度で、なぜ導入されているのか。

本記事で簡潔にご紹介します。


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カーボンプライシングとは


カーボンプライシングは、排出されるCO2 の量に応じたコストが課される制度です。

分かりやすく言うと

CO2そのものに価格をつけ、CO2を排出する企業や家庭の行動・意識を変革するための制度

という意味。脱炭素推進、つまり地球温暖化防止のための経済的手法なのです。

 

カーボンプライシングの様々な取り組みは、「明示的カーボンプライシング」と「暗示的炭素価格」という2つの種類に分けられています。

 

 

<明示的カーボンプライシング>

CO2排出量1tあたりに価格が付けられるもの

▼例

炭素税:化石燃料を使用した製造時や発電時のCO2排出に課税する制度

排出量取引:国や企業同士でCO2排出の枠を決め、超過分・不足分を取引できる制度

 

<暗示的炭素価格>

エネルギーの消費量やCO2排出削減にコストがかけられるもの

▼例

クレジット取引:CO2削減価値をクレジットとして取引できる制度

炭素国境調整措置:環境への施策が行き届いていない国からの輸出品に対し、生産時のCO2排出分の費用を輸入国が負担する制度

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日本のカーボンプライシングの現状


日本は、明示的カーボンプライシングに分類される「地球温暖化対策のための税」(以下「温暖化対策税」と表記)を、2012年10月1日から施行しています。

具体的には、石炭や石油、天然ガスなどの化石燃料の利用に対し、CO2の排出量に応じた税が課される、というものです。

 

しかし、この温暖化対策税の税率は微々たるもの。

 

欧州の炭素税導入国の税率

 

 

欧州と比べると、非常に低い税率であることが分かります。

税制の見直し、そして新しい施策は、本国の大きな課題となるでしょう。

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温暖化対策税の使途


徴収された温暖化対策税は、どのような取り組みに使われているのでしょうか。

平成24年4月に閣議決定された「第4次環境基本計画」では、以下のように述べられています。

 

「税制による地球温暖化対策を強化するとともに、エネルギー起源CO2排出抑制のための諸施策を実施していく」”

「税収を活用して、省エネルギー対策、再生可能エネルギー普及、化石燃料のクリーン化・効率化などのエネルギー起源CO2排出抑制の諸施策を着実に実施」”

 

つまり、その名の通り「地球温暖化を防止するための対策や支援」に使われています。

例えば、環境省が行う設備導入補助事業の支援やZEB(※)化補助、地域での再生可能エネルギー導入などです。

 

※ZEB とは

Net Zero Energy Building(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の頭文字を取った略称。

建物で消費する年間のエネルギーを「省エネでへらし、創エネでつくる」ことでエネルギー消費量を正味(ネット)でゼロにすることを目指した建物のこと。

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カーボンプライシングは企業にどう影響するか

 

では、カーボンプライシングは企業にどのような影響を与えるのでしょうか。

 

コスト負担を避けるため、CO2排出削減に意欲的になることは良いことです。

脱炭素への貢献ができますし、取り組み自体が企業のイメージアップになります。

 

しかし、あまりにも過重な負担を強いてしまうと、経営を圧迫してしまう恐れも。

そうなると、企業の国際競争力の低下や、カーボン・リーケージ(※)が懸念されます。

 

またカーボンプライシングによってエネルギーコストが上昇すれば、エネルギー消費の激しい企業に負荷がかかります。

本制度は、企業にとって大きな負担とならないよう配慮することが、導入にあたって大事なポイントになるのではないでしょうか。

 

※カーボン・リーケージ とは

CO2排出規制が厳しい地域から、規制が緩やかな他の地域へ移動し事業活動を行うことで、移動先の国のCO2排出量が増えてしまうこと。

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まとめ


脱炭素が先行する欧州に比べ、日本が遅れをとっているのは疑いようもない事実です。

この状況を打開するために、カーボンプライシングは有効な手立てとなるでしょう。

 

とはいえ、発生するであろう様々な問題も考慮しなければなりません。

コロナ禍で経済が不安定な今、慎重に検討すべき制度です。

 

2050年カーボンニュートラル実現まで残り30年を切りました。

カーボンプライシング導入は未だ議論の段階にあり、具体的な結論は先送りになっています。

日本政府および環境省・経済産業省が、今後どのような結論を出すのか注目です。

<参考資料>

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