2022年1月19日

温室効果ガスを削減しないと今後どうなる?

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地球温暖化の原因と言われている温室効果ガス

今、世界各国で温室効果ガス削減の緊急性が叫ばれており、様々な対策が講じられています。

 

温室効果ガスの増加は地球環境にどんな悪影響をもたらすのでしょうか。

そして、このまま削減に取り組まなかった場合、どのようなことが起こり得るのでしょうか。

 

今回は、温室効果ガスを削減しないと起こり得る、地球温暖化の影響を4つご紹介します。

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そもそも温室効果ガスとは


温室効果ガス = CO2(二酸化炭素)だと思っていませんか。

CO2の割合が最も多いことには間違いないのですが、その他に、メタン・一酸化二窒素・フロンガスなども、温室効果ガスに含まれます。

 

2019年度の日本の温室効果ガスの排出量は約12億1,200万トン(CO2換算)もあり、その内訳は下記のようになっています。 

 

さらに、2019年のCO2排出量の世界ランキングでは、1位中国・2位アメリカ・3位インド・4位ロシアに次いで、日本が1,117.61百万トンで5位にランクインしています。

 

これらのデータから見て分かる通り、日本はCO2の排出量が非常に多い国です。

ゆえに、脱炭素への取り組みは欠かせません。

 

ちなみに、温室効果ガスはその名のとおり、地表を温める効果のあるガスです。

地球温暖化の原因として知られていますが、実は地球にとって、無くてはならない気体なのです。

もし、この温室効果が無くなると、地表の温度は約-19℃まで低下します。

 

つまり、「温室効果ガス削減」はこれらの気体全てを0にするというわけではなく、ヒトの活動が原因で排出された温室効果ガスを、実質0(※)にするという取り組みなのです。

 

※温室効果ガス実質ゼロ とは

人為的な温室効果ガスの排出量から、植林、森林管理などによる吸収量を差し引き、合計を実質ゼロにすること。

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温室効果ガスが増え続けると何が起こる?


温室効果ガスが増えすぎると、地表が必要以上に熱をもつことになり、気温が上昇する原因になります。

これがいわゆる「地球温暖化」です。

 

産業革命以降、1880年から2012年の間に、世界の平均地上気温は0.85℃も上昇しています。

1℃にも満たない気温の上昇であれば問題ないのではないか、そう思う方もいるかと思います。

しかし、このわずかな気温上昇が、深刻な問題につながるのです。

 

地球温暖化は、どのような事態を引き起こすのでしょうか。

異常気象の発生頻度が高まる


地球温暖化は、ただ気温が上昇するだけではありません。

豪雨や台風などの異常気象発生リスクが大幅に高まります

 

異常気象

 

日本では、2020年に九州、中部、東北地方をはじめとした地域で集中豪雨が発生。

激甚災害に指定されたこの大雨は「令和2年7月豪雨」という名称が定められており、各地で深刻な被害をもたらしました。

農林水産被害額は、なんと2,000億円超。

 

この豪雨は「地球温暖化と関連している可能性がある」と、気象庁が指摘しています。

 

その他にも、世界各地で干ばつや熱波などの異常気象が見られており、地球温暖化は、異常な気温・気候の変化を起こしていることが分かります。

 

このままでは、予想もつかない大きな被害が発生する可能性も考えられます。

自然生態系の崩壊


気温・気候の変化は、自然生態系のバランスを崩します

特定の地域に生息する生物や植物は、このすさまじい気温・気象の変化に順応できず、絶滅する恐れも。

 

実際に、コスタリカに生息していたオレンジヒキガエルの絶滅の要因として、地球温暖化による干ばつが挙げられています。

 

また、沖縄やグレートバリアリーフのサンゴの白化現象も、地球温暖化が原因だと言われています。

海水温度が上昇することによって共生していた褐虫藻が減り、サンゴは栄養を受け取れず白化。

白化状態が続くとサンゴは死んでしまいます。

そうすると、サンゴと棲み処とする生物が生きていけなくなり、海の生態系が壊れていく、といった負の連鎖が起こるのです。

 

サンゴ

ヒトの生活が脅かされる


気温・気候の変化や生態系破壊は、水・食糧不足をも引き起こします
 

まずは水の問題。

洪水・干ばつなどが原因で、水資源が不足する地域が増えています。

洪水は水質を汚染して水不足を起こしますし、干ばつはそもそも使用できる水資源を枯渇させます。

ヒトが利用できる水の量・質は、異常気象によって大きく左右されるのです。

 

干ばつ

 

そして食糧問題。

今、世界全体で作物の生産量低下が懸念されています。

気温の変化によって、育たない作物・品質が低下する作物が増加しているためです。

日本は食料自給率が低い国ですので、もし海外からの輸入が激減した場合、小麦(自給率16%)や、大豆(自給率6%)などの輸入依存率が高い作物が、食卓から姿を消してしまうかもしれません。

※自給率は2019年度の数値

 

健康被害も注目すべき問題です。

猛暑日が増加することによって、熱中症などのリスクが増えることはもちろん、感染症リスクも高まります。

気温や降水量の変化によって、病原体を媒介する蚊やネズミなどの自然宿主が増えるとともに、生存域が広がってしまうからです。

同様の理由で増加・分布拡大する衛生外虫も、ヒトにとって脅威となるでしょう。

海面水位上昇による島・沿岸部の水没


気温の上昇によって、北極や南極の海氷は凄まじい勢いで融けだしています。

そして、この海氷の融解によって海面水位の上昇が危惧されています。

 

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この海面水位の上昇は、モルディブ諸島や、その他の海抜の低い島・沿岸部を水没させてしまうかもしれません。

 

また、津波・高潮などの災害の勢いを強める恐れもあります。

そうすると日本は、災害が起こった際に極めて広い範囲での被害が予想されるでしょう。

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まとめ


温室効果ガス増加が原因となって起こる地球温暖化。

本記事では、ここ130年ほどの間で世界の平均気温が0.85℃も上昇し、様々な問題が起きていることを紹介してきました。

このまま何の対策も打ち出さずにいると、想像もできないような最悪なシナリオが私たちを待ち受けることになるでしょう。

あらゆる生態系の生命が脅かされる日が来るかもしれないのです。

 

地球温暖化は遠い未来の話ではありません。

だからこそ、カーボンニュートラル実現のための取り組みは、速やかに始めるべきと言えます。

「自分たちの事業には関係ない」「日本への影響は少ないだろう」といった他人事な考えは極めて危険です。

上述のとおり、CO2排出量が多い日本だからこそ、企業に対して脱炭素経営が求められているのです。

 

企業の脱炭素化は、決して容易なものではありません。

CO2排出量の把握には専門知識を必要としますし、省エネ設備への交換や再エネ設備の導入にはコストがかかります。

取り組んだからといって、利益が発生するわけでもありません。

 

しかし、利益に直接つながらずとも、企業評価には大きく関わってきます。

それは、利益よりも脱炭素への取り組みが重視され始めているからです。

 

実現にあたり、コスト面でまだまだ課題が残っているのは事実ですが、取り組みのメリットも多々あります。

メリットについては、【脱炭素経営のメリットとは】で紹介しています。

 

地球のため、そして企業のための脱炭素経営は、カーボンニュートラル実現に向けて常識的になりつつあるのです。

<参考資料>

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