脱炭素社会の実現に向けた取り組みが世界中で加速している中、企業においても環境対応がますます重要視されています。その中で注目を集めているのが「ZEB」です。
本記事では、ZEBの基本的な定義や種類、導入することのメリット、さらに中小企業がどのようにZEBを取り入れられるかについて詳しく解説します。
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ZEBとは?
ZEB(ゼブ/Net Zero Energy Building)とは、快適な室内環境を維持しながら、建物内のエネルギー収支をゼロにすることを目指す建築物のことです。
建物の省エネ性能を高めつつ、再生可能エネルギーを活用することで実質ゼロにすることができます。
また、ZEBはエネルギー効率を向上させるだけでなく、災害時のエネルギー供給安定化にも寄与する点も注目されています。
再生可能エネルギーを活用することで、外部からのエネルギー供給が途絶えた場合でも、建物内のエネルギー需要を賄うことが可能です。
ZEB導入のメリット
ZEBを導入することで、企業には様々なメリットがあります。
1. 気候変動対策
地球温暖化の進行に伴い、CO2排出量の削減が世界的な課題となっています。
建物のエネルギー収支をゼロにすることで、CO2排出量を大幅に削減できる「ZEB」は、気候変動対策に貢献しており、国際的にも高い評価を得ています。
2. エネルギーコスト削減と経済的メリット
ZEBを実現することで、建物のエネルギー使用量を大幅に削減できます。
これにより、エネルギーコストが低減し、企業の経済的な負担が軽減されます。
特に、エネルギー価格が高騰している現在では、ZEBの導入が企業経営の安定に寄与する重要な手段となっています。
3. 規制強化への対応
日本を含む多くの国では、地球温暖化ガスの排出量やエネルギー消費量の削減を企業に求めており、こういった規制が今後強化されていく可能性が高いです。
ZEBを導入することで、それらの規制を遵守することができます。
4. 企業のイメージ向上と競争力の強化
環境問題への意識が高まる中、ZEBを導入することで、企業は「環境に優しい取り組みを行っている」というメッセージを発信できます。
これにより、取引先や顧客からの評価が高まり、競争力を強化することが期待されます。
また、ZEBを採用する企業として、環境意識の高い人材にアピールすることも可能です。
5. 持続可能な社会への貢献
ZEBは、単なるコスト削減の手段ではなく、持続可能な社会の実現を目指す重要な一歩です。
環境負荷を削減し、再生可能エネルギーの活用を促進することで、次世代に向けた責任ある経営を実現します。
ZEBは、企業の環境対応と経済的メリットを同時に実現するソリューションとして、これからのビジネスにおいて欠かせない要素となるでしょう。
この取り組みを通じて、持続可能な未来への道を切り開くことが期待されています。
ZEBは段階別に4種類
ZEBにはいくつかの段階があり、建物の省エネ性能や再生可能エネルギーの活用度に応じて分類されています。
それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
ZEB(ゼブ)
エネルギー消費が完全にゼロの建物です。建物内で使用するエネルギーを再生可能エネルギーで完全に賄います。
省エネ技術の導入に加え、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーの活用を最大限に行うことで実現します。
Nearly ZEB(二アリーゼブ)
建物のエネルギー消費量を75%以上削減した段階です。残りのエネルギーは再生可能エネルギーで補います。
ZEBよりも実現が容易であり、既存建物の改修でも適用可能な場合が多いのが特徴です。
ZEB Ready(ゼブレディ)
高い省エネ性能を実現していますが、再生可能エネルギーの活用はまだ行われていない段階です。
新築建物や既存建物の大規模改修において、省エネを優先的に実施する際のステップとして位置付けられます。
ZEB Oriented(ゼブオリエンテッド)
将来的にZEB化を目指して、省エネ性能を部分的に向上させた建物です。
一部の省エネ改修や設備更新を行った段階で、限られた予算や時間で取り組みを開始したい中小企業にとって現実的な選択肢となります。
ZEBの種類は、建物の用途や規模、予算によって適した段階を選べる柔軟な仕組みを提供します。
中小企業の場合、最初はZEB OrientedやZEB Readyから取り組みを始め、段階的にNearly ZEBや完全なZEBを目指すのが一般的です。
このように段階的なアプローチを取ることで、企業は負担を抑えつつ、長期的な省エネ目標を達成することが可能になります。
ZEB実現のために必要な技術とは?
ZEBを実現するためには、以下のような技術や仕組みを活用することが必要です。
➊建築技術の工夫
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高断熱・高気密構造
壁や窓、屋根、床などの断熱性能を高め、空気の漏れを防ぐことで、冷暖房エネルギーの無駄を最小限に抑えます。
これにより、室内環境を快適に保ちながら、エネルギー消費を削減できます。
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自然換気と日射制御
自然な風や光を建物内に取り入れる設計で、人工エネルギーの消費を減らします。
また、日射制御により、冷暖房負荷を抑えることが可能です。これらはパッシブ技術として省エネに重要な役割を果たします。
➋省エネルギー設備
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高効率な空調設備
インバーター制御の空調システムや熱回収型換気システムなどを導入することで、エネルギー消費を削減します。
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LED照明
電力消費が少なく、長寿命のLED照明を使うことで、照明エネルギーを効率化します。
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高効率設備の導入
ボイラーやエネルギー回収型換気システムなど、建物全体のエネルギー効率を向上させる設備を採用します。
➌エネルギーマネジメントシステム
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BEMS(Building Energy Management System)
商業施設やオフィスビル向けのエネルギーマネジメントシステムで、建物全体のエネルギー消費をリアルタイムで管理・最適化します。
例えば、使用状況に応じて空調や照明を自動的に調整する機能などがあります。
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IoT活用
センサーやデバイスを活用し、無駄なエネルギー使用を防ぎます。これにより、エネルギー消費の可視化と効率化を実現します。
➍再生可能エネルギーの導入
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太陽光発電システム
建物の屋上や外壁に設置して、電力を自給自足できる仕組みを構築します。
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蓄電池
昼間に発電したエネルギーを蓄え、夜間に利用することで、エネルギーの効率を最大化します。
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地熱・風力エネルギー
地域特性に応じた再生可能エネルギー源を活用することで、建物のエネルギー自給率を高めます。
➎スマート技術の融合
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自動制御システム
電力使用量のピークを抑えるため、エネルギー消費を時間帯や需要に応じて調整します。
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データ解析
エネルギー使用データを分析し、継続的な改善を行います。これにより、効率的な運用を可能にします。
これらの技術を組み合わせることで、エネルギー効率を最大化し、環境負荷を大幅に削減することが可能です。
ZEBの実現は、企業の競争力向上や持続可能な社会への貢献に大きく寄与します。
まとめ
ZEBは、単なる省エネの取り組みにとどまらず、環境負荷を大幅に削減しながら企業の競争力を高めるための戦略的な選択肢です。
中小企業にとっては、ZEB導入を通じてコスト削減や環境イメージの向上を実現するだけでなく、再生可能エネルギーや省エネ技術の活用ノウハウを蓄積し、さらなるビジネスチャンスを創出する可能性も秘めています。
まずは、自社のエネルギー使用状況を把握し、専門家に相談するなどして具体的な導入計画を立てる第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。
【参考サイト】
・環境省┃ゼブ・ポータル など
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