詠人不知

Vol.25 「日本一の山」

嬉しい。日本一の山、富士山が世界遺産に登録された。
その富士山がテレビに頻繁に登場するようになって、ふと疑問に思ったことがある。
それは、富士山はなぜゆえ、日本一の山なのかということ。
実は私は、富士山が日本一高い山と紹介される度に強い違和感を感じるのだ。

富士山は日本一の高さだから、みんな富士山のことを知っているが、
日本で二番目に高い山の名前は、ほとんど知られていない。(答えは北岳)
だから一番と二番には天地ほどの差があるのだという例でよく使われる話である。
本当にそうだろうか。
富士山がもし日本で二番目に高い山でしかなかったら、
その価値は一気に低くなってしまうのだろうか。
そんなはずはない。

測量技術が確立されたのは近代になってからだと思うのだが、
そもそも富士山は、結果的に日本一、
標高の高い山であることが分かるずっと以前から、
日本一の山であったはずだ。

霊峰富士。
単なる高さだけでなく、そのたたずまいの美しさ、雄大さ、気高さ、厳しさ、
表情の豊かさ・・・などなど、あらゆるものが、富士山を日本一の山にしている。
それを現代人が、単なる標高だけで表現してしまうようでは、何とも寂しい。

会社も同じだ。
会社で、山の標高に相当するのは売上だ。
単に売上を競う前に、まずは会社として美しくありたい。
売上高は後から結果としてついてくるというのは、多くの先人が語っている。
美しい会社をつくろう。

Vol.24 「そう言うと彼は飛び去った…」

*推奨BGM♪ ルイ・アームストロング この素晴らしき世界

以前、メールアドレスの宛名に【様】を付けるのが自己満足で良い!
と何処かのコラムで読んだ気がする。(このコラムの Vol.20 「透明な敬意」

しかし、様を付けてメールを受け取った側は、
様がついてる事は、つゆ知らず!
意図せずして自分の事を “様付” で返信 (re:)する事になる。

…と言う事を、このコラムを書いた人は解らないのだろうか?

気づいた方は結婚式の招待状よろしく、
自分宛の【様】や【御】を消すように、
いちいち【様】を消さなくてはならない。

相手に、ひと手間かけさせては、かえって不本意の筈。

                            ◆
眼下にビルの赤色灯が明滅する中、誰かが耳元で囁いた…

『人は他人に迷惑をかけずに生きる事は出来ない…』

迷惑をかけない様に生きようとするのは、ある種のおごりである。
それよりも迷惑をかけられた…と感じない感性を磨きたい。

(磨きたい…ふと、デパートの真鍮製の手摺を金属磨きで、
誰にも気付かれず黙々と磨き上げる清掃の方を思い出す)

             ◆
ここは居酒屋
『はいぃぃ、二番テーブルさんっ、ネギ間2串!』

『はい~喜んでぇ~』
ネギ間2本で喜んでもらって申し訳ない…

喜びを表現する世界。黙って気付かれず喜んで頂く世界。

嗚呼、今日もお節介なこの世界!今宵はどちらへ飛び立とう…

(A)

Vol.23 「頼まれごとは、試されごと」

上司から仕事を依頼された。

最近はレスポンスが遅いと言われている。

まったく次から次へと、山積みだ。

仕事があるのはとても嬉しいことだが…

おっと、、

多くのサラリーマンが、
こんなこと思っているのではないでしょうか。

実は先日ある方の講演を聴く機会がありました。
その方は「お金でなく、人のご縁ででっかく生きろ!」の
著者であり、なんと口コミだけで年間300日も講演に
飛び回っているというから驚きです。

人との出会いをとても大切にし、自ら成長する術を身につけている。
それが中村文昭さんです。

中村さんは、「頼まれごとは試されごと」だとおっしゃいました。
人に頼まれたことは相手の予想を上回ることに意味があると。

もしこの言葉に、
僕が始めに書いた愚痴(世論)を当てはめると、
「頼まれごとはやらされごと」になってしまいます。

「言われたことだけやってれば給料もらえるしー」

こんな考えじゃ人生つまんないですし成長できませんよね。
この人は一生やらされて終わるんでしょう。

でもそんな人も昔は、履歴書の志望動機に
「自分が成長できる会社だと思いました」
とか書いていたのではないでしょうか?

中村さんご自身においては、偶然の出会いをキッカケに
「頼まれごとは試されごと」として全力を尽くす。
そのために実践しているのは、あと3つ

 ・返事は0.2秒(選択肢はハイか、YES)
 ・できない理由を言わない(デモデモ星人になるな)
 ・今できることをやる(まずは動いてみる)

それが新しい出会いを引き寄せているのです。

上司でもお客様でも友人でも家族でも。

まずは、身近な人からの頼まれごとをチャンスと捉え
相手の予想を上回り、感動と喜びを提供していく。

これこそが新しい出会いや自らの成長に
つながることなのだと、気付かされました。

心を鷲づかみにされた瞬間でした。

(M)