クロスサイトスクリプティング(XSS)とは?攻撃の種類や事例、効果的な対策方法と徹底解説

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近年、クロスサイトスクリプティング(XSS)攻撃が急速に巧妙化しており、企業はどのように対策すればいいのでしょうか?

この記事では、XSS攻撃の種類や事例、効果的な対策方法やソリューションについて紹介します。

クロスサイトスクリプティング(XSS)とは?

クロスサイトスクリプティング(XSS)攻撃の基本的な仕組みは、脆弱性のあるWebサイトを介して悪意のあるスクリプトを実行させ、そのスクリプトを他のユーザーのブラウザで実行させることです。

攻撃の流れは主に3つのステップで構成されます。

まず、攻撃者が脆弱性のあるWebサイトの入力フォームやURLパラメータなどに悪意のあるスクリプトを埋め込みます。

次に、被害者がそのWebサイトにアクセスすると、ブラウザが埋め込まれたスクリプトを正規のコードの一部として解釈し実行します。

最後に、実行されたスクリプトによって、被害者のCookie情報の窃取や、偽のログインフォームの表示などの攻撃が行われます。

この攻撃は、Webサイトが適切な入力値の検証やエスケープ処理を行っていない場合に成功する可能性が高くなります。

XSS攻撃の種類と特徴を紹介

クロスサイトスクリプティング(XSS)攻撃は、主に3つの方法で実行されます。

反射型XSS攻撃

反射型XSS(Reflected XSS)攻撃は、悪意のあるスクリプトがWebサイトを介して一時的に実行されるタイプの攻撃です。

主にWebフォームやURLに入力されたデータがそのまま処理され、結果としてユーザーのブラウザに悪意あるスクリプトが反射される形で実行されます。

反射型XSSは、攻撃者が直接サーバーにデータを保存せず、ユーザーが攻撃リンクをクリックしたときにのみ攻撃が成立するので、フィッシング攻撃と組み合わせて使用されることがあります。

この攻撃は、3種類の攻撃の中で最も一般的な手法の一つです。
なぜなら比較的実行が容易で、多くのWebサイトが潜在的な標的となる可能性があるためです。

これを防ぐためには、入力されたデータを無害化する(サニタイズする)ことが重要です。

Webアプリケーションはユーザーが入力するデータを信頼せず、HTMLやJavaScriptとして実行されないようにエスケープ処理を行う必要があります。

格納型XSS攻撃

格納型XSS(Stored XSS)は、クロスサイトスクリプティング攻撃の中でも特に危険な形態です。

この攻撃は、攻撃者によってWebサイトに保存された悪意のあるスクリプトが、他のユーザーが開いた際に実行されてしまいます。

掲示板やコメント欄などのユーザー生成コンテンツを含むWebサイトが標的となりやすく、攻撃者が投稿した悪意のあるスクリプトが、そのページを訪れた全てのユーザーに影響を与える可能性があります。

この攻撃は「蓄積型XSS」や「持続型XSS」とも呼ばれ、反射型XSSよりも広範囲に影響を及ぼす可能性があるため、Webアプリケーション開発者は入力値の厳格な検証とサニタイズを行うことが重要です。

DOMベース型XSS攻撃

DOMベース型XSS (DOM-based XSS) 攻撃は、クライアント側のJavaScriptコードの脆弱性を悪用する特殊なタイプの攻撃です。

悪意のあるスクリプトがサーバーを介さずにブラウザ上で直接実行されるため、検出と防御が困難なのが特徴です。

攻撃者はまず悪意あるスクリプトを含むURLを作成します。

ユーザーがそのURLをクリックしてアクセスし、ブラウザがJavaScriptを実行する際に、URLから取得した悪意のあるデータがDOM(Document Object Model)に挿入され、攻撃される仕組みとなっています。

この攻撃の主な対策として、ユーザー入力データの適切なサニタイズ、安全なDOM操作メソッドの使用、Content Security Policy (CSP)の実装などがあります

DOMベース型XSS攻撃は、反射型や格納型とは異なり、クライアント側で完結するため、サーバー側のセキュリティ対策だけでは防ぐことができない点に注意が必要です。

XSS攻撃の具体的な事例

XSS攻撃は、多くの有名企業や大規模プラットフォームでも発生しており、その影響は広範囲に及ぶことがあります。

以下に、いくつかの具体的な事例を紹介します。

2010年9月、Twitterで大規模なXSS攻撃が発生しました。ユーザーがマウスカーソルを特定のツイート上に置くだけで、自動的に同じ悪意のあるコードを含むツイートが投稿される仕組みでした。

この攻撃により、数時間で数万人のユーザーが影響を受け、ポップアップウィンドウが表示されたり、ユーザーの意図しないツイートが投稿されたりしました。

2011年には、FacebookでXSS脆弱性が発見されました。

この脆弱性を利用すると、攻撃者はユーザーのプロフィール情報を変更したり、友達リストにアクセスしたりすることが可能でした。

Facebookは迅速に対応し、脆弱性を修正しましたが、この事例はソーシャルメディアプラットフォームのセキュリティの重要性を浮き彫りにしました。

2020年9月には、ユニクロのAndroidアプリ「ユニクロアプリ」にXSS脆弱性が発見されました。

この脆弱性を悪用されると、ユーザーが指定された任意のWebサイトにアクセスさせられ、フィッシング詐欺などの被害に遭う可能性がありました。

幸い、迅速な対応により大規模な被害は報告されませんでしたが、モバイルアプリケーションにおけるXSS対策の重要性を示す事例となりました。

これらの事例は、XSS攻撃が理論上の脅威ではなく、実際に企業や個人に大きな影響を与える可能性があることを示しています。

そのため、継続的なセキュリティ対策の実施と、脆弱性の早期発見・修正が極めて重要です。

XSS攻撃の効果的な対策は?

XSS攻撃に対する効果的な対策方法には、以下のようなものがあります:

1. 入力値の検証とサニタイジング

ユーザーからの入力データを厳密にチェックし、不正な文字や危険なコードを排除します。
入力値の型、長さ、形式を検証し、スクリプトタグや特殊文字などの危険な文字列を取り除きます。

2. 出力のエスケープ処理

ユーザー入力データをWebページに出力する際、適切なエスケープ処理を行います。
HTMLの特殊文字(<, >, &, “, ‘)をエンティティ参照に変換し、出力先に応じた適切なエスケープ処理を実施します。

3. セキュリティヘッダーの設定

Content Security Policy (CSP)などのHTTPセキュリティヘッダーを設定し、不正なスクリプトの実行を制限します。

また、CookieにHttpOnlyフラグを設定して、JavaScriptからのアクセスを制限します。

4. 定期的な脆弱性診断

XSS攻撃を防ぐためには、定期的な脆弱性診断が重要です。この診断によって、システムやアプリケーションの潜在的な脆弱性を早期に発見できます。
発見した脆弱性は迅速に修正することで、セキュリティを強化し、攻撃のリスクを大幅に軽減できます。

5. セキュアなコーディングと最新状態の維持

開発者がセキュアなコーディング手法を学び実践することで、XSS脆弱性の導入を防ぎます。
同時に、使用しているライブラリやフレームワーク、OSやブラウザを常に最新の状態に保ちます。

これらの対策を総合的に実施し、継続的にセキュリティ対策に取り組むことで、XSS攻撃のリスクを大幅に軽減することができます。

XSS攻撃を対策できるソリューションは?

XSS攻撃に対する効果的な対策として、専門的なセキュリティソリューションの導入が推奨されます。

Web Application Firewall (WAF)
XSS攻撃パターンを検知し、ブロックする機能を提供します

脆弱性診断ツール
定期的にWebアプリケーションの脆弱性をスキャンし、XSSの脆弱性を特定します

セキュアコーディング支援ツール
開発段階でXSS脆弱性を検出し、修正を支援します

コンテンツセキュリティポリシー (CSP) 管理ツール
CSPの設定と管理を容易にし、XSS攻撃のリスクを軽減します

マイクロセグメンテーションソリューション
エンドポイントごとに細分化して保護するので、XSS攻撃の影響範囲を限定でき、被害の拡散を防ぎます

これらのソリューションを組み合わせることで、XSS攻撃に対する多層的な防御を構築できます。
特に、マイクロセグメンテーションは従来の境界型防御を補完し、より効果的なセキュリティ体制を実現します。

まとめ

クロスサイトスクリプティング(XSS)は、Webアプリケーションの脆弱性を利用した深刻な攻撃であり、個人情報の窃取や不正な操作を引き起こすリスクがあります。

具体的な事例からもわかるように、大規模なプラットフォームでもXSS攻撃が確認されており、ユーザー側でのセキュリティ対策は不可欠です。

企業が安全なWeb環境を維持するために、対策ソリューションを駆使して包括的に保護しましょう。

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【参考サイト】

独立行政法人 情報処理推進機構┃安全なウェブサイトの作り方 – 1.5 クロスサイト・スクリプティング
Facebook┃FacebookでのセルフXSS詐欺について

この記事の著者:電巧社セキュリティブログ編集部

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