公開鍵基盤(PKI)とは?基本概要や仕組み、メリットなどを解説

公開鍵基盤(PKI)とは?基本概要や仕組み、メリットなどを解説

サイバー攻撃が高度化する現在、企業におけるセキュリティ対策の重要性が急速に高まっています。

その中で注目される技術のひとつが、安全なデータ通信や認証を実現し、企業のセキュリティ基盤を支える柱となる「公開鍵基盤(PKI)」です。

本記事では、PKIの基本概念から仕組み、メリットなどを詳しく解説します。

公開鍵基盤(PKI)とは?

公開鍵基盤の基本概要

PKI(Public Key Infrastructure)とは、安全なデータ通信を実現するための基盤技術です。

特に、公開鍵と秘密鍵を用いた暗号化や認証の仕組みにより、通信の機密性や整合性を確保します。

PKIは、単なるセキュリティ技術以上の役割を果たします。

たとえば、デジタルトランスフォーメーションを進める中で、オンライン取引やリモートワーク環境の安全性を支える重要な柱として機能します。

これにより、組織全体で信頼性の高い運用が可能となります。

公開鍵と秘密鍵:セキュリティの基盤

PKIは、公開鍵と秘密鍵という2つの鍵を使用します。公開鍵は誰でも利用可能で、秘密鍵は本人のみが保持します。

この組み合わせにより、安全なデータの暗号化と復号化が可能です。

さらに、公開鍵と秘密鍵の概念は、データの暗号化だけでなく、送信者の認証やデータの整合性確認にも活用されます。

この多機能性が、PKIを現代のセキュリティソリューションの中核に位置付けています。

公開鍵暗号方式とは?

公開鍵暗号方式は、PKIの中核をなす技術です。

この方式では、送信者が受信者の公開鍵を使用してメッセージを暗号化し、受信者が秘密鍵を使用して復号化します。

RSA(Rivest-Shamir-Adleman)やECC(Elliptic Curve Cryptography)といったアルゴリズムが一般的に使用されます。

  • RSAの特徴: RSAは、大きな整数の素因数分解が困難であることを利用した暗号方式です。高いセキュリティを提供しますが、鍵長が長くなるため、処理速度が遅い場合があります。
  • ECCの特徴: ECCは、楕円曲線の数学的特性を利用した暗号方式で、RSAよりも短い鍵長で同等のセキュリティを提供します。そのため、リソースが限られたデバイスやIoT環境での利用に適しています。

公開鍵暗号方式は、データの機密性を確保するだけでなく、通信相手の認証やメッセージの整合性確認にも役立ちます。

PKIの仕組み

公開鍵は暗号化に、秘密鍵は復号化に使用されます。これにより、第三者がデータにアクセスするリスクを防ぎます。

また、この仕組みは電子署名にも応用されます。たとえば、送信者が自身の秘密鍵を使用してデータに署名を加えることで、受信者は公開鍵を使ってそのデータが正当なものであることを確認できます。

これにより、信頼性がさらに向上します。

暗号化プロセスの流れ

  1. データ送信者が受信者の公開鍵を使用してデータを暗号化します。
  2. 暗号化されたデータは安全に送信されます。
  3. 受信者が自身の秘密鍵を使用してデータを復号化します。

このプロセスにより、通信経路上でデータが傍受されても、その内容は解読されません。

この技術は、特にオンラインバンキングや電子商取引など、データの機密性が求められる分野で不可欠です。

電子署名による信頼性の確保

電子署名を使用することで、データが改ざんされていないことを証明できます。これにより、データの信頼性が確保されます。

さらに、電子署名は法的効力を持つ場合もあり、契約書のデジタル化や電子投票システムなど、幅広い応用が可能です。

この技術は、業界標準を満たすだけでなく、企業の信頼性向上にも寄与します。

公開鍵暗号方式を基盤とした電子署名では、送信者が自身の秘密鍵でデータに署名を施し、受信者は送信者の公開鍵でその署名を検証します。

これにより、データが改ざんされていないことを確認できるだけでなく、送信者が誰であるかを証明することも可能です。

現代のサイバーセキュリティにPKIが重要な理由

ランサムウェアなどのサイバー攻撃は、企業が依存するデータや通信経路を標的にし、多大な損害を引き起こします。

PKI(公開鍵基盤)は、安全なデータ通信と認証のための中核技術として、こうした攻撃に対抗する上で欠かせない役割を果たします。

PKIは、データの暗号化と認証を組み合わせることで、通信の安全性を確保します。

これにより、攻撃者がデータを傍受しても内容を解読できず、さらに通信相手の正当性を確認できるため、不正アクセスのリスクを大幅に軽減します。

またPKIは、企業間や顧客との信頼性を向上させる重要な基盤でもあります。

電子署名を活用することで、送信されたデータが改ざんされていないことや、正当な送信者からのものであることを証明できます。

これにより、契約書や取引データの信頼性が高まり、ビジネスの円滑な運営を支援することができます。

このようなPKIの重要性を正しく理解し、適切に活用することが、持続可能なセキュリティ体制を構築する鍵となるのです。

PKIを導入するメリット

PKIを導入すると、主に3つのメリットがあります。

PKI導入のメリット

1. セキュリティの大幅な向上

データ通信を暗号化し、送信者と受信者を厳格に認証することで、不正アクセスやデータの改ざんを防止します。これにより、ランサムウェアや中間者攻撃のリスクを最小化できます。

2. データ通信の信頼性向上

公開鍵暗号や電子署名を活用することで、通信の正当性やデータの整合性を保証します。
これにより、取引先や顧客との信頼性が強化され、ビジネスの継続性が支えられます。

3. 拡張性の高さとカスタマイズの柔軟性

PKIは企業のセキュリティ要件に応じて柔軟に拡張・カスタマイズできる点が大きなメリットです。
たとえば、企業規模の成長や新しいアプリケーションの導入に合わせて証明書管理や認証プロセスを簡単に調整できます。

PKI導入時の注意点と成功するポイント

PKI導入する際の注意点

1. 証明書管理の複雑さ

証明書の有効期限管理や更新が煩雑になる可能性があります。
これを軽減するには、証明書管理の自動化ツールやクラウド型PKIサービスの導入が効果的です。

2. 初期コストの高さ

PKIの導入にはサーバー構築や証明書の購入、ソフトウェアライセンスの費用が発生します。
中小企業の場合は、クラウド型サービスを利用することでコストを最適化できます。

3. 既存システムとの互換性

導入する際に、既存のネットワークやアプリケーションとの互換性を確認する必要があります。
システム全体のアップグレードを伴う場合があるため、事前調査が重要です。

4. 人的リソースの確保

PKIの設定や運用には専門知識が求められるため、情シス部門が少人数の企業では運用負担が増える可能性があります。
この場合、専門サービスの利用や外部委託を検討することが推奨されます。

PKI導入を成功させるポイント

PKI導入を成功させるポイント

1. クラウド型サービスの活用

クラウド型PKIサービスを利用することで、初期費用や運用負担を軽減し、スピーディな導入が可能です。

2. 自動化ツールの導入

証明書管理の自動化ツールを活用することで、有効期限切れのリスクを防ぎ、運用効率を向上させます。

3. 専門家からのサポート

導入の各段階でセキュリティ専門家の支援を受けることで、運用の安全性と効果を最大化できます。

PKIを導入することで、セキュリティの強化と運用の効率化を同時に達成できます。
ただし、適切な計画とサポート体制を整えることが成功の鍵となります。

PKIは他ソリューションと併用可能?

PKIは拡張性の高さから、他のセキュリティソリューション(EDRやIAMなど)と併用しやすく、包括的なセキュリティ基盤を構築することが可能です。

EDR(エンドポイント検知と対応)

PKIはEDRソリューションと組み合わせることで、エンドポイントのセキュリティをさらに強化できます。

例えば、EDRはエンドポイント上での不審な動きを検知しますが、PKIを活用することで、認証を通じてエンドポイント間の通信をより安全に保つことが可能です。

これにより、ランサムウェア攻撃や不正アクセスのリスクを大幅に軽減できます。

IAM(アイデンティティアクセス管理)

IAMソリューションとPKIの統合により、ユーザーやデバイスの認証プロセスが強化されます。

PKIを活用して電子証明書を発行することで、IAMシステム内の認証手順がより安全かつ効率的になります。

また、デバイスごとのアクセス制御も可能となり、内部不正や外部攻撃のリスクを低減します。

マイクロセグメンテーション

マイクロセグメンテーションは、エンドポイントごとに細かく分割して保護し、各セグメント間の通信を制限する技術です。

PKIを組み合わせることで、各セグメントへのアクセスを認証し、攻撃者が内部で横移動(ラテラルムーブメント)するリスクを最小化します。

これにより、ネットワーク全体のセキュリティが強化されます。

これらのソリューションとPKIの組み合わせにより、単独では実現できない高いレベルのセキュリティ体制を構築できます。

まとめ

公開鍵基盤(PKI)は、安全な通信、認証の信頼性向上、データ保護を可能にする、企業にとって不可欠なセキュリティ基盤です。

ゼロトラストセキュリティやマイクロセグメンテーションとの相乗効果により、企業全体の防御力を飛躍的に高めることができます。

特にランサムウェアの脅威が増す中、PKIの活用は単なる選択肢ではなく、企業の存続を左右する重要な戦略となっています。

少人数の情報システム部門でも運用可能なツールやクラウド型サービスを活用することで、運用負担を軽減しつつ、高水準のセキュリティを実現することが可能です。

セキュリティ強化を検討中の企業は、ぜひPKIを中心にした対策を導入し、安全で信頼性の高い業務環境を構築してください。

マイクロセグメンテーションなら「ColorTokens Xshield(カラートークンズ エックスシールド)」

記事内で紹介された最新サイバーセキュリティ技術「マイクロセグメンテーション」を採用したいなら、「ColorTokens Xshield(カラートークンズ エックスシールド)」がおすすめです。

アメリカの医療施設や政府機関にも導入されており、世界15カ国以上で顧客を持つ実績ある製品として、日本市場でも注目を集めています。

ColorTokens Xshield

また本製品は、中小企業向けに「カラートークンズ 簡単導入パック」も提供しています。

本パックは、PC台数が50〜300台の企業を対象とし、短期導入(約2週間)、簡単運用、低価格を特徴としています。

セキュリティ担当者がいない企業でも導入しやすく、コスト削減と運用の簡素化を実現しつつ、効果的なランサムウェア対策を可能にします。

ぜひ貴社のサイバーセキュリティソリューションとして、ご検討ください。

【参考サイト】
・IT用語辞典 e-Words ┃PKI(公開鍵基盤)とは

この記事の著者:電巧社セキュリティブログ編集部

電巧社がおすすめするサイバーセキュリティ(マイクロセグメンテーション)の
資料をダウンロードする

メルマガ登録

ゼロトラストセキュリティ・マイクロセグメンテーションをはじめとして、サイバーセキュリティの最新情報や事例、セミナー開催情報などをお届けします。

本記事に関連するサービス

ColorTokens logo

エンドポイントごとに分割して守る新サイバーセキュリティ技術「マイクロセグメンテーション」で、ランサムウェアなどのサイバー攻撃から情報資産を保護します。

カラートークンズ簡単導入パック

「会社に情報システム部門がない…」
そんな企業様に最適!
最短2週間で導入可能・シンプルな運用・低コストでサイバー攻撃の被害を最小限に抑えます。

よく読まれている記事

関連する用語集