近年、ランサムウェアによる被害が世界中で急増しています。
大企業だけでなく、中小企業や自治体、医療機関など、あらゆる組織が標的となっています。
業務の中断や顧客情報の漏えいなど、その代償はあまりにも大きく、企業の存続をも脅かす事態も少なくありません。
本記事では、架空の企業を舞台に、ランサムウェア感染による一連の流れをリアルに再現し、被害の全容とその深刻さ、そして備えるべき対策についてご紹介します。
【8:45】朝出社――サーバーが動かない?

いつも通り出社した営業部の田中さんは、パソコンが異常に重く、社内ファイルサーバーにアクセスできないことに気づきました。
他の社員も同様で、共有ファイルがすべて開けず、代わりに「README_FOR_DECRYPT.txt」という見慣れないテキストファイルが増えていました。
【9:30】社内大混乱――業務が完全停止

営業担当は顧客リストにアクセスできず、請求書の発行もできません。
経理部は会計ソフトが起動せず、入金確認もストップ。
社内チャットやメールも機能しておらず、部署間の連絡も滞る状況に。
事業の根幹を支えるシステムが止まり、業務はすべて麻痺状態に陥りました。
【10:15】情報システム担当が調査開始

1人しかいない社内の情報システム担当・佐藤さんが、状況の把握に奔走します。
どうやらランサムウェアに感染して、共有ファイルが暗号化されてしまったため、開けなくなっているようです。
また、謎のテキストファイル「README_FOR_DECRYPT.txt」には、「72時間以内にビットコインで30万ドル相当を支払え。支払わなければ全データを消去する」と、身代金を要求するメッセージが書かれていました。
佐藤さんは急いで社長に報告し、初動対応のための緊急対策会議を提案します。
【12:00】対策会議が開かれる

緊急対策会議が開かれ、対応方針が協議されます。
バックアップの有無、警察への通報、社外のセキュリティベンダーへの対応依頼、そして支払うべきかどうか――侵害に対応する訓練や事前準備などはしておらず、すべてが手探りの中での判断となります。
社長は「お金よりも信頼のほうが大事だ」と述べ、まずは専門家の支援を受けながら復旧を模索する方向で決定します。
【15:00】損害が拡大する

取引先から「発注確認のメールが来ない」と問い合わせが殺到し、信用不安が拡がり始めます。
従業員の間にも不安が広がり、一部では「このまま給料が出なくなるのでは」といった声も。
被害は業務の停止だけに留まらず、企業全体の信頼と士気にも深刻な影響を及ぼします。
【2日後】復旧のめどが立たず

社内に保存していたバックアップを確認したところ、最新のデータではなく、完全な復元は不可能と判明。
結局、数百万の費用をかけて専門業者の支援を受け、少しずつ復旧を進めることになりました。
幸い重要なデータは失わずにすみましたが、通常業務に戻るまでに2週間、被害総額は1,000万円以上に及びました。
ランサムウェアの被害を防ぐには:事前の対策が鍵
上記のようなランサムウェアの被害を未然に防ぐには、予防や早期対処といった事前の備えが何より重要です。
ここでは、最低限取り組むべき3つの対策を紹介します。
① 定期的なバックアップとオフライン保管
データが暗号化されても、安全なバックアップがあれば復旧が可能です。
ただし、バックアップがネットワークに常時接続されていると、同時に感染する恐れがあるため、オフラインまたはクラウド上に分離して保管することが大切です。
バックアップの整合性を定期的に確認することも忘れないようにしましょう。
② 社員教育によるフィッシング対策
ランサムウェアの多くは、不審なメールの添付ファイルやURLをきっかけに侵入します。
社員がこうしたメールを開封しないよう、定期的なセキュリティ研修や、実践型の訓練(フィッシングテスト)を実施することで、組織全体の防御力を高めることができます。
③ 適切なソリューションの導入
人的対策に加えて、技術的な防御の強化も不可欠です。
例えば以下のようなソリューションが効果的です:
- マルチファクター認証(MFA):IDやパスワードが流出しても、第三者による不正ログインを防止できます。
- EDR(エンドポイント検知・対応):PCやサーバーでの異常な挙動をリアルタイムで検知・遮断します。
- マイクロセグメンテーション:ネットワークを細かく分割し、攻撃が社内で横に広がるのを防ぐ構成にします。
これらを組み合わせることで、侵入後の被害拡大を防止するゼロトラスト型の防御が実現します。
明日はあなたの企業かもしれません
セキュリティ対策に「終わり」はありませんが、やみくもに対策を打っても効果的とは言えません。
まずはセキュリティ成熟モデルを活用し、自社の位置を見える化することが重要です。
中小企業であっても、できるところから一歩ずつ対策を積み重ねていくことで、信頼性の高い体制を築くことができます。
段階的な取り組みで、無理なく、着実にセキュリティを強化していきましょう。
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この記事の著者:電巧社セキュリティブログ編集部
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