ヒューマンエラー対策には何が効果的?
発生原因や対策方法を解説します

ヒューマンエラー対策には何が効果的?発生原因や対策方法を解説します

人間はミスする生き物であり、ヒューマンエラーを完全になくすことは不可能です。
しかし、ヒューマンエラーが大きな損害や事故へつながった例は少なくありません。
この誰でも起こり得る“リスク”にはどう対処すればよいのでしょうか。

実は、ヒューマンエラーには様々な発生原因があり、対策方法もそれぞれ異なります。
そのため「気を引き締める」「しっかり確認する」といった漠然とした対策では不十分なのです。

今回はそんなヒューマンエラーについて、詳しく解説していきます。

ヒューマンエラーとは

ヒューマンエラーとは、読んで字のごとく「人為的ミス」という意味。

人の手によって起こってしまったミスや過誤のことを指しており、業務遂行において発生をなるべく避けたい事象です。
「ついつい・うっかり型」「あえて型」という2種類があり、それぞれ発生の原因が異なります。

ついつい・うっかり型は「記憶」「認知」「判断」「行動」機能のいずれかがうまく働かない結果、発生してしまったヒューマンエラーのこと。
あえて型は、人が意識して横着や規則無視などをすることにより、起こってしまったエラーが該当します。

ヒューマンエラーが起こる原因

ここからはヒューマンエラーが起こる原因を、具体例も交えて解説していきます。

【ついつい・うっかり型】

  • 記憶

「この仕事の後に頼まれた仕事をやろう、と思っていたのを失念し、対応が漏れてしまった
といった、記憶にまつわるミスは、思い違いやど忘れなどが原因で起こるエラーです。
分かっていたのに、覚えていたのに、ついうっかり…からミスへとつながっています。

  • 認知

「1時締切(PM)を7時締切(PM)と聞き間違え、対応が遅れてしまった」
〈イチ〉と〈シチ〉の聞き間違えのように、認識を違えたことによるミスは認知のエラーです。
見間違いや、見逃し・聞き逃しもこれに該当します。

  • 判断

「普段より多い発注数を発注側のミスと判断し、いつもの個数を納品してしまった」
このような判断のエラーは思い込みによって発生します。
また、知識不足によって間違った判断をしてしまうケースもこれに当てはまります。
認知自体に問題はなかったのに、判断を誤ってしまうのがこのエラーです。

  • 行動

「決まった順番で行わなければならない作業を、異なる順番で対応してしまった」
といった手順・方法のミスは、このエラーに分類されます。
行動エラーの有名な事故として、とある大手証券会社の株の誤発注事件があります。
数字を打ち間違えてしまったことによって、一瞬で数百億円の大損害がでてしまったというヒューマンエラーです。

【あえて型】

「今まで一度も問題が起こっていないので、必要な確認作業を省略した」
「二人で対応すべき仕事を、一人で対応した」
このような慢心や過信、慣れは、さまざまなヒューマンエラーを起こします。
なぜこの手順で業務を行っているのか、なぜルールが制定されているのかを理解していないと、「これくらい問題ないだろう」といった考えに陥ってしまうのです。

その他、〈リスクテイキング〉といった、リスクがあることを分かっていながら、その選択をとってしまうという心理現象も、ヒューマンエラーにつながる危険性をはらんでいます。
「急ぎの作業の邪魔になるため、安全確認をせず作業を行った」のような、安全確認をしないと危ないということを分かっていながらも、作業スピードを優先する、といった行動が当てはまります。

対策の方法

冒頭の繰り返しになりますが、人間はミスする生き物です。
そのため、ヒューマンエラーを0にすることは不可能といって良いでしょう。

しかし、発生の確率を低くするといった対策はもちろん可能です。
いくつか例を紹介します。

マニュアル・ルールを作成する

ルーティン業務や危険を伴う業務をマニュアル化することで、記憶エラーや判断エラーを減らせます。
マニュアル作成時は「事故発生防止のため」という意識を持ち、ミスが起きやすい箇所への注意書きや、図や写真、動画を用いるなどの工夫をしましょう。
初めての人はもちろん、誰が見ても分かるマニュアルを作ることが大切です。

ルール化すべき業務、規則があいまいになっている業務に対しては、ルールの制定や改定を行い、制定の背景や目的も周知しておきましょう。

業務の自動化

定型業務や反復業務は、行動エラーやあえて型のヒューマンエラーが起こりがちな業務。
そのため、それらを自動化すれば、人が介入する業務を減らすことができ、ヒューマンエラーも削減できます。

もちろん人の目で確認、作業しなければならない業務も多々あります。
そういった業務にリソースを割くために、業務の自動化は非常に効果的です。

具体的なチェックリストの活用

保守・点検業務では、記憶エラーや認知エラーが大きな事故を引き起こします。
そのため、作業を記録するチェックシートの活用が欠かせません。
しかし、正常か否かをチェックさせるだけのシートは、判断エラーを招いてしまいます。
チェックの項目は「数値が50以下になっているか」のように、なるべく具体的に記載しましょう。

しかしチェック作業は、慣れてくると形骸化してしまう恐れも。
リストの定期的な更新や、効率よくチェックできる順番で項目を記載するなどの工夫が必要です。

ダブルチェックの徹底

ダブルチェックは、判断エラーや行動エラーを防ぐために行われている取り組みの一つで、医療業界や航空業界などの、人の命が関わる業務で取り入れられています。
一人目のチェックで気が付かなかったミスを、担当者を変えて二度チェックし、確認漏れを防止することを目的としています。

しかし、この取り組みも形骸化、流れ作業化しやすいことが難点。
ダブルチェックは本当に必要な箇所のみに採用し、いたずらに増やさないことをオススメします。

また、二名が同じ手順でチェックするのではなく、観点や方法を変えて確認を行うクロスチェックを実施するのも良いでしょう。

労働災害の8割はヒューマンエラーが原因

実は労働災害の8割はヒューマンエラーが原因となっていることをご存じでしょうか。
そして労働災害は、とりわけ工場や建築現場で多く発生しているのが現状です。
ヒューマンエラーを防ぎ、労働災害を阻止することは、これらの業界における最大の課題といえるでしょう。

危険がつきまとう現場において、ヒューマンエラーを0に近づけていくためには、しかるべき対策が必要です。
近年では、離れた場所から作業状況を確認できるようにしたり、熟練技術者がスムーズに指導したりするために、ITツールを活用するケースも増えています。

現場の労働災害を防止するツール『RealWear』

本記事では、現場を支援するツール『RealWear』というスマートグラスを紹介します。
RealWearは、頭部に装着するスマホと表現されるくらい利便性が高く、世界各国の作業現場に導入されています。

高性能のカメラ・マイクを搭載しており、リアルタイムで現場状況を共有できるため、監督者や熟練技術者が、場所を問わず作業のチェック・指示ができるように。
行動や判断のエラーを中心としたヒューマンエラーの防止に役立ちます。
また、RealWearは音声操作でハンズフリーですので、作業員の手をふさぐこともありません。

現場作業の効率化、そしてヒューマンエラー防止のために、ぜひRealWearの活用を検討してみてください。

RealWearが気になる方は、ぜひこちらのページをご覧ください。

まとめ

どんなに気を付けていても、人為的なミスは必ず起こります。
また、体調や疲労、環境の変化でもミスは発生するものです。
ヒューマンエラーとは別に、予測していなかった想定外のエラーが起こることもあります。

そのため、日頃からできる限りの対策を講じておくことが大切です。
万が一のエラーが起こった際、迅速に対応し、被害を最小に抑えられる環境を整えておきましょう。

一度、自社で過去に起こったヒューマンエラーや、直近で起こったヒヤリハットを洗い出してみてください。
そうすると、どういった対策を立てれば良いか、自ずと見えてくるはずです。

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参考資料:厚生労働省|生活衛生関係営業の生産性向上を図るためのガイドライン・マニュアル|2022.8.2
厚生労働省|職場のあんぜんサイト|2022.8.2

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