保護方式説明

東芝

. 保護構造の選定にあたって

モータを使用するに際して、設置される環境、雰囲気に適した外被構造および保護構造を選定することは、モータ本来の本能を発揮するために重要です。

もしその選定が適切でない場合は、モータの寿命を低下させるばかりでなく、事故の原因となりますので、充分注意が必要です。

. 保護方式による分類

従来の分類方法JPに対しIECで規定されている保護方式(IP)に合わせることになりました。(JEC-2137-2000)

回転機の外被による保護方式について
(1)   人体および固形異物に関する保護方式(第1形式名または第1記号)
人体を回転機内の回転部分または導電部に触れないように保護し、また回転機を固形異物の浸入に対して保護する形式で、5種類に分類されます。

(2)   水の浸入に対して保護する形式(第2形式名または第2記号)
回転機を水の浸入に対して保護する形式で、8種類に分類されます。
保護方式の記号表示は下記例のように第1記号、第2記号の順に並べその記号に対しIPを冠します。
(形式名の場合も同じ)

《保護方式の記号表示例》
ⅠP 4 4 (標準全閉外扇形相当の表示)                                          
ⅠP      ・・・   文字記号   形式名の場合は全閉防まつ形となります。
4          ・・・   第1記号:人体および固体異物に関する保護形式(全閉外)
4          ・・・   第2記号:水の浸入に対して保護する形式(防まつ形)

(備考)
(a)   リード線が保護されていない(端子箱なし)保護方式は IP20、IP40と表示します。
(b)   屋外形の場合には、東芝形式にWを入れて表示し、保護形式にはWの表示はしません。
(c)   水の浸入に対する保護形式が、停止中又は運転中のどちらかで行ったかを示す記号(それぞれSまたはM)数字記号のあとに添えます。この場合、両者の保護方式をたとえば、IP55S/IP20Mのように表示します。

保護方式による分類の組み合わせ表

スクロールできます

人体および固体異物に関する保護形式

水の浸入に対する保護方式

第2形

無保護形

防滴形

防雨形

防まつ形

防噴流形

防波浪形

防浸形

水中形

式名

第2
記号

0

2

3

4

5

6

7

8

第一形式名

第一記号

説明

説明

水の浸入に対し特別の保護を施していない構造

鉛直から15°の方向に落下する水滴によって有害な影響を受けない構造

鉛直から60°の方向に落下する水滴によって有害な影響を受けない構造

いかなる方向からの水滴であっても有害な影響を受けない構造

いかなる方向からの噴流であっても有害な影響を受けない構造

いかなる方向からの強い噴流であっても有害な影響を受けない構造

指定の水深および時間で水中に浸し、たとえ水が浸入しても有害な影響を受けない構造

水中で正常に運転できる構造

無保護形

0

人体の接触、人体異物の浸入に対して、特別の保護を施していない構造

IP00



×

×

×

×


半保護形

1

人体の大きい部分、例えば、手が誤って機内の回転部分または導電部分に触れないようにした構造。直径50mmを超える固形異物が浸入しないようにした構造

IP10

IP12



×

×

×


保護形

2

指などが機内の回転部分または導電部分に触れないようにした構造。直径12mmを超える固形異物が浸入しないようにした構造。

IP20

IP22

IP23

IP24

×

×

×













全閉形

4

工具・電線など最小幅または最小厚みが、1mmより大きいものが、機内の回転部分または導電部分に触れないようにした構造。直径1mmを越える固形異物が浸入しないようにした構造。ただし、排水穴および外扇の吸気口、排気口、は記号2の構造でよい。

×



IP44





防じん形

5

いかなる物体も、機内の回転部分または導電部分に触れないようにした構造。じんあいの侵入を極力防止し、たとえ浸入しても正常な運転に支障がないようにした構造。

×



JP54

IP55




(注)
(1) 各形式の試験は、無保護形は無試験、他は別の規定により試験を行う。
(2) IP記号は通常用いられる保護方式、×印は組み合わせの難しいものである。
(3) IP00およびJP10は、それぞれ無保護形および半保護形と略称することが出来る。

. 使用条件に対する保護構造の適用

モータが使用される場所の周囲条件と、これに適用される保護構造との関係を9-2に示します。
なお、屋内普通条件では IP22(防滴保護形)で十分といえます。

表9-2 使用条件に対する保護構造の適用

設置場所

環境または目的

損傷の可能性

選定すべきモータ形式

屋  内

普通の場所

保護形(IP20)

防滴保護形

じんあいの多い所(砂じん、灰分、鉱石粉など)

通風冷却の阻害による温度上昇
コイル絶縁物の摩耗、軸受の損傷

全閉外扇形(IP44)

フィルタ付開放形

酸、アルカリ液または腐食性ガス

腐食、絶縁劣化

全閉外扇防食形

爆発性または可燃性の液やガス、炭じん、その他爆発性粉じん

爆発または火災

防爆形

屋  外

普通の場所

絶縁の低下

全閉外扇屋外形(IP44)

じんあいの多い所(砂じん、灰分、鉱石粉など)塩風が強い所

通風冷却の阻害による温度上昇コイル絶縁物の摩耗軸受の損傷

全閉外扇屋外形(IP44)

酸、アルカリ液または腐食性ガス

腐食、絶縁低下

全閉外扇屋外形防食形

爆発性または可燃性の液やガス、炭じん、その他爆発性粉じん

爆発または火災

耐圧防爆形屋外形

全閉外扇安全増防爆形屋外形

内圧防爆形屋外形

開放屋外安全増防爆形

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