始動方式

東芝

. 始動方式の選び方

三相誘導モータに直接電源電圧(指定電圧)を加えると、始動電流は全負荷電流の約500~700%の電流が流れ、始動トルクは約150~200%程度発生します。

このため始動時に相手機械に大きな衝撃を与えることや、電源容量が小さい場合は、始動電流のため電圧低下が増加し、著しい電圧動揺を与え、同一電源につながれている他の負荷の機能に支障を与える等が生じることがあります。

一方、始動電流を下げるためには、電圧を低減することにより可能ですが、必然的にモータトルクの低下をきたし、始動時間が長くなります。

かご形誘導モータの始動方法には種々ありますが、次の点を考慮し決定する必要があります。
(1)   電源容量。
(2)   許容される始動電流および始動トルク、加速トルクとの調和と始動時間。
(3)   相手機械に及ぼす始動時の衝撃。
(4)   モータの始動に関する規格、規定。

始動方式の種類について、主なものをあげると次のようなものがあります。

スクロールできます

始動方法

全電圧始動

減電圧始動

スターデルタ始動

始動補償器始動

リアクトル始動

一次抵抗始動

内容

モータに直接電源(定格)電圧を印加する。

始動時モータの巻線をスター結線として、各巻線に加わる電圧を1/√3にし、始動後、定格回転数の70~90%でデルタ結線に切り換える。

a.コンペン始動
一次巻線に加わる電圧を単巻変圧器を用いて減圧する。
b.コンドルファ始動
始動時は変圧器により減圧し、次に変圧器の中性点を切り離してリアクトルとし、最後に短絡して全電圧を加える。

電圧機の一次側にリアクトルを入れて減圧する。

モータの一次側に抵抗を挿入して減圧する。

諸特性

始動電流

1

1/3

(m1/100)2

m2/100

m3/100

始動トルク

1

1/3

(m1/100)2

(m2/100)2

(m3/100)2

加速性

・加速トルク最大
・始動時ショック大

・トルク増加小
・最大トルク小

・トルク増加、やや小
・最大トルクやや小
・円滑な加速

・トルク増加大
・最大トルク大
・円滑な加速

・トルク増加大
・最大トルク大
・円滑な加速

適用等

電源容量があれば最も一般的

・一般に5.5KW以上のモータで、無負荷または実負荷始動できるもの
・減電圧始動方法では最も一般的
・工作機、クラッチ付荷役機械など

・始動電流を特に抑えるもの
・大容量モータ
・ポンプ、ファン、ブロワ遠心分離機など

・2乗低減トルク負荷
・紡績機械等の緩始動用など

・2乗低減トルク負荷
・小容量モータ(7.5kw以下)

注)     
1.
m1:     単巻変圧器のタップ電圧(%)
m2:     始動リアクトルのタップ電圧(%)
m3:     始動抵抗のタップ電圧(%)

2.        始動補償器の始動電流は励磁電流を無視している(実際には10~20%程度増大する)。

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