2022年11月1日

国家100年の計~人口減少による国力低下から、持続可能な国造りへの転換を目指す~

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日本において、デフレの長期化や経済力の低下をもたらしている根本的な原因のひとつに、我が国が人口オーナス期(子供と高齢者に比べ、労働力人口が少ない状態)に入っていることが挙げられます。
この課題を放置すべきでないという議論は多いものの、移民を増やすなど、表面的な対策を打つだけでは真の経済力は回復せず、やがて取り返しのつかない深刻な国力低下をもたらすことになるのではと危惧しています。

その理由は、日本の国力は単に労働力の数だけに支えられてきたものではなく、日本の風土が育んできた勤勉さや真面目さ、正直さなどの国民性が、その維持発展に大きな役割を果たしてきたと思うからです。

日本の文化伝統を尊重する国粋主義的な観点は抜きにしても、持続可能な国造りのためには、島国国家である地域特性も長所と捉え、国を挙げて日本人の人口増加に努めることを基本とした緊急かつ長期に亘る、大胆な少子化対策が必須ではないでしょうか。

そのようなことに関心を寄せていただくきっかけになればと思い、本レポートを作成しました。
どうぞご覧ください。

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1、労働力人口の増加は日本人の出生率増加で実現すべき

減少する労働力人口の解決策として、外国人労働者に頼らざるを得ない目先の現実を見ると、移民を増やすべきだという考え方には一理あります。
稼いだ富が海外に流出しやすいという問題点はありますが、短期的な策としては明らかに有効です。
しかし移民を増やして労働力を確保さえすれば、それで良いのでしょうか。
日本の国力は回復できると、本当に言えるのでしょうか。

冒頭で述べたように、長期的には日本人の出生率を上げていくことが日本の国力を上げるために不可欠であると、私は考えています。
では、どうしていくべきなのか。経済が成熟したことで選択肢が増え、結婚しないで自分だけの生活が出来上がっている状況の人たちについては、生き方の一つとして認めざるを得ません。
しかし、その一方で結婚したくてもできない人、縁遠い人の増加、また彼らを支えていた日本の良さでもある地域・地元での相互支援の環境が薄れ、世話役がいなくなったことも影響し、未婚率が増加しています。

他方で、晩婚化による出産年齢の高齢化は、夫婦が持つ子供の数を、どうしても押さえてしまいます。
また結婚しても将来への不安(主に経済的理由)や子育ての環境の問題(核家族化や家の広さ、保育所の問題など)などから、子供は欲しいけれど子作りを諦める、あるは二人以上の子供を持たない夫婦が増えていて、結果的に出生率の低下又は低位安定が常態化しています。
少子化は明らかに将来の国力を低下させる最大の問題に違いありません。

昔は結婚するのが当たり前という価値観や風潮がありました。
しかし、今や自分の意思で結婚しないという選択肢も認められていて否定し難いです。
だからこそ結婚したいけれど出来ないでいる人たちへのサポートを充実させること、更には、夫婦で2人以上の子供をもうける強い動機付けを政策に織り込むこと、この2つの対策こそが、少子化解決の一助になると私は思っています。

→ 国家が家族を守る

2、安心して子育てができる環境づくりとは…国家の本気度

少子化対策で成功しているハンガリー、移民に頼らない人口増加への取組みとは。
「結婚奨励金」、「3年間の有給育児休暇」、「第3子出産で学生ローン全額免除」、「マイホーム補助金」、「学生ローン返済免除」、「子供を4人出産すると定年まで所得税ゼロ」、「体外受精無料化」などの積極施策を施行。
これらの制度のおかげで、子供を望むハンガリー人は過去10年で2割増しとなりました。

一方、2000年以降高い水準を維持するフランス。
国の少子化対策が世界的に評価されているが、実際には移民により出生数を押し上げているだけであり、フランス生まれの女性の出生数は2000年以降もずっと減少傾向にあるのが現状です。

ハンガリーの事例にみるように、先ずは国や自治体(地域含む)がしっかりとした政策を打ち出し、予算を大胆に投じて、働きながらも安心して結婚し子育てができると皆が思える環境を早急につくるべきでしょう。
さらにその政策に賛同する企業を国が支援する体制をつくることも忘れてはいけません。
子育てをひと家族の問題にしないで、国や地域全体、そして企業も一緒になって子育てをするという意識改革にどこまで本気で取り組めるかが大切だと考えます。

→ 積極的に子作りをしたくなる社会の実現に向けて

3、少子化対策を持続可能な国家の基本施策に

子供一人育てるには年間100万円くらい掛かることから、中途半端な策を打つだけでは、効果は限定的と思われます。
一組の夫婦が安心して二人以上の子供を産み育てたいと思えるようにするには、子供が多くてもお金のかかりにくい明確な環境を作る必要があります。
これには税制優遇や補助金などを駆使するしか方法がなく、どうしても国家レベルの力が必要でしょう。
まさに「国家100年の計」なのです。

また、第一子を産む年齢を低くすることができれば、夫婦が高齢化する前に、第二子以降をもうけられる可能性は必然的に高くなります。
したがって国が積極的に奨励金給付などを行い、早い結婚と早い出産を支援することは、極めて有効な施策になると考えます。

さらに、結婚や子育てに理解のある企業を国や地方自治体が支援するインセンティブプランの制定も有効でしょう。
企業が結婚願望のある従業員に、出会いやキッカケづくり、人生の先輩としてのサポートをできる文化や環境を整え、昔ながらの世話役の役割を現代版にリメイクするなどの施策を、我々企業も取組んでいければと考えています。

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