2024年4月22日

誰にも聞けない環境対策「見える化」をざっくり解説
~企業が本当に必要としている「見える化」とは?~

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ざっくり解説シリーズ ~見える化だらけの環境対策~

時折、「会社に言われて見える化をしないといけないから見える化システムの見積が欲しい」といった問い合わせがあります。

詳細を聞いてみると【見える化】で調べたら自動化できるEMSが出てきたから、とりあえず見積依頼しているといった内容が多く、そもそも何のための【見える化】するのか分からないまま悩んでいらっしゃる事が多いです。

そんな方々の調べ物の第一歩となるようにレポートを書きました。

【図解付きDEレポートNo.29(PDF版)】はこちら

1.【見える化】色々ありすぎ

  • 環境対策を進めようとすると、調べれば調べるほど出てくる色々な【見える化】
  • 取り組まなければいけないのは分かってはいるけども、何が何だかわからない!そんな状態に陥っていませんか?
  • 一口に【見える化】とは言っても、目的が違ったり、制度が違ったり、管轄が違ったりで詳細が詳しく説明されている資料はあっても、それぞれの概要がまとめてある資料は中々見つかりません
  • 全ての資料を確認してから取り組みを始められれば良いけども、会社も取引先も世の中もそんなに待ってはくれない。そんな状態の一助となる様、色々な【見える化】を超ざっくり解説します

最近の【見える化】をざっくり解説します

2.【見える化】超ざっくり解説(1)

スコープ1・2・3(基準・分類方法)

  • ある“モノ”がつくられ廃棄されるまでの排出量(サプライチェーン排出量)を分類したもの
  • スコープ1:燃料の燃焼や製品製造等による直接的な排出量
  • スコープ2:電気・熱・蒸気等の購入による間接的な排出量
  • スコープ3:仕入れや販売後の排出量
  • 自主的な公開の他、取引先・金融機関・国等に開示する場合がある

カーボンフットプリント(表示制度)

  • 商品・サービスの調達から廃棄・リサイクルに至るまでの過程で排出される温室効果ガス(GHG)の排出量を商品やサービスに表示する制度

グリーン電力証書(証書化)

  • 自然エネルギー(太陽光、風力、水力等)による電気の「環境価値」を証書として見える化したもの。 取引が可能
  • 同様にグリーン熱認証もある

非化石証書(証書化)

  • 発電時にCO2を排出しない非化石エネルギーによる電気の「環境価値」を証書として見える化したもの。 取引が可能

J-クレジット(証書化)

  • 省エネ設備の導入や再エネの利用によるCO2等の排出削減量や、森林管理によるCO2等の吸収量を【クレジット】として国が認証する制度。取引が可能

超ざっくり解説(2)に続く…

2.【見える化】超ざっくり解説(2)

カーボン・オフセット(考え方・取り組み)

  1. CO2排出量の算出
  2. CO2排出量の削減努力
  3. 2で削減しきれない排出量に対し、Jクレジット等を購入してオフセット(相殺)する考え方

EMS(BEMS、HEMS、FEMS等)(見える化設備)

  • Energy Management System (エネルギー管理システム)の略。B:ビル、H:ホーム、F:ファクトリー等、対象の施設によって名称を変えているが、基本的な構成は同じ。エネルギー種別・時間毎・設備(系統)毎のデータを計測・蓄積・分析を行う為の設備。計測結果から自動制御を行うものもある

省エネ法(法律・報告義務)

  • エネルギーの使用の合理化等に関する法律の略称。エネルギー使用量が特定量を超えている事業者や特定の業種が対象
  • 燃料・熱・電気が報告対象で再エネは含まれていない

温対法(法律・報告義務)

  • 地球温暖化対策の推進に関する法律(=地球温暖化対策推進法)の略称。排出量に対する報告義務や排出量の抑制が課されている。温室効果ガスの排出量が特定量を超えている+従業員の数が21人以上の事業者が対象。報告対象は【エネルギー起源CO2】と【エネルギー起源のCO2以外の温室効果ガス】

RE100(取り組み)

  • 事業で使用する電力の再エネ100%化を目標とする国際的な取り組み。参加条件に年間電気使用量50GWh以上等がある為、日本では大手企業を中心に84社が参加

RE Action(取り組み)

  • RE100と同様に再エネ100%化を目指す取り組み
  • 日本国内のRE100の対象企業以外が対象。自治体、教育機関、医療機関等の団体も対象となる

CDP(開示・評価)

  • 国際的なNGO(非政府組織)。企業に対して環境情報の開示を促して投資家の投資判断となるように評価を行っている

SBT(Science Based Targets(目標・開示)

  • パリ協定が求める⽔準と整合した、企業が設定する温室効果ガス排出削減⽬標。企業が投資家、顧客、サプライヤー、社員などのステークホルダーに対し、持続可能な企業とアピールする為に認定をうける。前述の【スコープ1・2・3】の分類に基づいたサプライチェーン排出量の削減が求められる

何から始めるべきか?

3.何から始めるべきか?

  • 概要は分かったけど、結局何からはじめるべきか?そんな時は、まずはゴール(目的)を設定(確認)しましょう
  • 企業の環境対策の【見える化】は、省エネ・省コストが目的なのか?脱炭素?流行りのSDGs?企業PR?
    その目的によって取り組むべき【見える化】が変わってきます。
  • 目的が決まったら、まずは【データ収集!!!】 では無く、【データ収集の為の体制決め】です
    どの【見える化】でもエネルギー使用量や排出量の集計の為に、エネルギーの請求明細等を集める必要があります
  • 一年分集めて終わりではありません。もれなく継続的に集計をする為には【誰が・いつ・どこに】資料を集めるか、そして誰が問題なく集まっている事を確認するか?そこまで決めて企業として運用しないと…
    直ぐに形骸化して提出が必要な際に「1カ月分抜けている…」「あそこの部署で管理しているはず…が!?」なんて事が良くあります
  • ここまで準備出来ていれば、具体的な報告提出やコンサル・システムを入れる際にも円滑に進むはずです

ゴールをハッキリ決め、体制を作らねば具体化しない

【図解付きDEレポートNo.29(PDF版)】はこちら

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