2024年1月26日

バイオマス発電の将来性
~木質バイオマス発電の課題とカーボンゼロの本質~

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DEレポートNo.25

私は再生可能エネルギー、特に創エネ(発電事業)の仕事をしていて、バイオマス発電の原料となる木質チップの未来に少し疑問を感じておりました。

これからのバイオマスやバイオガス発電に関して、新しい燃料も含めてレポートすることで、お読みいただきました方にも、少しだけでも関心を持っていただければと思います。

【図解付きDEレポートNo.25(PDF版)】はこちら

1.バイオマスの原料は木質ペレットで大丈夫?

  • そもそも潜在的にあるのは、原料となる木質チップの確保の問題があり、かつ木質ペレット燃焼により二酸化炭素そのものの排出や輸入物の木質ペレットの燃焼によって有害物質が発生することがあり、大気汚染や健康被害などの問題を引き起こす可能性がある
  • また、過度の伐採が環境問題を引き起こす場合もあり、同時に発電における燃焼カロリーが不安定である課題が言われている
  • 発電コストも燃料費が7割を占めており、どのようにコストを低減するかも大きな課題である

バイオマス発電が本質的なカーボンゼロに向かうには…

2.木質ペレットに代わるカーボンゼロに向けた良い原料は?

  • 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(通称 NEDO)が都市ごみのガス化を目的とした「廃棄物高効率ガス変換技術開発プロジェクト」を立ち上げて研究している
  • 木質ペレットに代わる原料を利用したバイオガス発電の普及。例えば、動植物のふん尿、農業廃棄物、食品廃棄物、下水汚泥等を原料としたバイオガス発電において、燃焼カロリーが不安定であることの課題解決策として少量の化石燃料を活用することで安定電源の確保となる
  • バイオガス発電の導入には、高コストが伴う経済的な面の課題がある
  • バイオガス発酵のプロセスを適切に管理するための、適切な設備や訓練された技術者が必要となる

発電施設の建設コスト問題はどう解決するの?

3.発電だけではなく、持続可能な炭素循環サイクルを!

  • 持続可能で副作用の少ない生活ごみや汚泥を原料としたバイオガス発電の普及が、再生可能エネルギーの割合増加に貢献し、安定した電気の供給に寄与すると考えます
  • 普及させるには、政治的サポート、つまりバイオガス発電設備投資に対する補助金や税制上の優遇措置が必要です
  • これにより、バイオガス発電プロジェクトの経済性が向上し、安定した再生可能エネルギーの普及がおおいに促進されると考えます
  • 将来的には炭素含有廃棄物を資源として産業に循環・供給するカーボンゼロ型の持続可能な炭素循環サイクルの確立が理想

安定的かつ持続可能なカーボンゼロに向けて

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