2023年7月26日

エネルギー価格高騰の原因は?補助金終了でガソリン値上がりも?

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エネルギー

ここ最近のエネルギー価格の高騰は、企業や消費者に大きな打撃を与えています。

冬の寒さが本格化し、エネルギー使用量が増加する今も値上げは収まっていません。

 

石油やLNG(液化天然ガス)、石炭といった資源の価格高騰は、なぜ起こっているのでしょうか。

そして、この現象は今後企業にどのような影響を及ぼすのでしょうか。

 

本記事ではエネルギー価格高騰の原因を、資源ごとに紹介していきます。

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なぜエネルギー価格は上昇したのか


エネルギー価格の高騰が始まったのは2021年10月頃。

この値上がりには、様々な要因が存在しています。

 

まず、「エネルギー需要の高まり」が総合的に考えられる一つの要因です。

 

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で停滞していた経済活動が回復し、一時的に需要が世界規模で高まりましたが、突然の需要に対して供給は追い付かず、結果としてエネルギー価格は上昇していきました。

 

ここからは各資源にスポットを当てていきます。

石油(原油)


石油は、ガソリンや灯油、プラスチックなど、生活において欠かせない製品の原料です。

そのため、価格の高騰は製造業・運送業に限らず、多くの企業に悪影響を及ぼしています。

 

ガソリン

 

パンデミックによる経済回復からの需要増加で、一時高騰した石油ですが、現在は経済成長が鈍化して下落傾向にあります。

 

それに対し、OPECプラスは2024年まで減産を発表しており、現在の価格から大きく値が下がる可能性は低そうです。

 

ただ、一大産油国であるロシアがウクライナへの侵攻で経済制裁を受けており、依然として原油の供給が不透明なため、今後も高騰する可能性は否定できません。

LNG(液化天然ガス)/天然ガス


LNGおよび天然ガスは、カーボンニュートラルの面で世界各国から注目されています。

例えば、CO2排出量トップの中国は石炭の消費を抑えるために、LNGの輸入量を大幅に増加。

燃料転換による温室効果ガスの削減を狙っています。

 

天然ガス

 

脱炭素において一歩先を行く欧州も、再生可能エネルギーとともに、CO2排出が少ない天然ガスを発電用燃料に使っていました。

 

そんな中、ロシアによるウクライナへの侵攻が起こります。

 

天然ガスをはじめとしたエネルギーをロシアに依存していた欧州諸国は、ロシアへの経済制裁により、天然ガスが輸入できない状態に。

天然ガスの代替エネルギーとしてLNGの輸入が急速に拡大し、その結果、世界的なLNG争奪戦が起こってしまいます。

 

LNGの需要はひっ迫し、価格が高騰。一部のアジアの国では、輸入を減らし、計画停電する国も出てきました。

 

ロシアへの経済制裁の長期化に伴い、今後もLNGの需要は高まる一方なのに対し、LNGの生産能力はまだ追いつけていない状況です。

 

資源エネルギー庁の「エネルギー白書2023」でも、2025年頃にかけて更にひっ迫すると予想されており、今後もLNGの高騰は止まらないとの見通しです。

石炭


数年前まで欧州では、石炭火力発電が淘汰されつつありました。

実際2020年には、再生可能エネルギー使用量が化石燃料の使用量を1%上回っていました。

 

しかし前述したロシアのウクライナ侵攻による経済制裁で、天然ガスを輸入できなくなった欧州は、代替エネルギーとしてLNGに加えて、石炭にも頼らざるを得ない状況に。

 

石炭

 

石炭は元々日本を含むアジアにはまだ需要があり、そのうえに欧州からの需要が加わったため、価格が高騰する結果となりました。

 

現在は落ち着いてきてはいるものの、依然影響が残っており、高値で推移しています。

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日本ではガソリンの補助金終了で値上がりする可能性も


日本でのガソリンの価格はというと、エネルギー庁の石油製品価格調査では、2023年6月19日時点でのレギュラーガソリンは1リットルあたり170.1円。

 

これでも十分高いと感じてしまうのですが、実はこの価格、国からの補助金で抑えられている状態なのです。

石油が高騰した去年は、補助金がなかった場合は1リットル200円超えた月もあったようです。

 

この補助金は6月以降段階的に補助率を引き下げ、9月末で一旦終了する予定となっており、今後値上がりが予想されています。

 

また世界情勢もまだ不安要素が多く、今後もガソリンの価格が高止まりする可能性は十分にあると考えられます。

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まとめ


ここ数年、国際エネルギー市場が混乱し、石油や天然ガス、石炭の高騰が続いており、日本を含め、世界の国々がオイルショック以来のエネルギー危機に瀕しています。

 

エネルギー価格は原材料・輸送費など、経済にあらゆる影響を及ぼすため、どの企業にとっても他人事ではありません。

 

特に日本はエネルギー資源を輸入に依存しており、2021年度の自給率はたったの13%です。エネルギー危機は、今後の日本の産業に深刻なダメージを与えてくることは間違いないでしょう。

 

そろそろ、再生可能エネルギーについて真剣に考える必要があるのではないでしょうか。

今後石油の価格が不透明ななか、我が国は脱炭素の取り組みをより一層強化・充実させることが急務となってくるでしょう。

<参考資料> 

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