脱炭素の様々なテーマからピックアップして解説する『脱炭素の論点』。
第12回は、地球温暖化の仕組みと温室効果ガスが地球のエネルギーバランスに与える影響について解説します。

※本記事の文章は『最新図説 脱炭素の論点 2025-2026(出版:旬報社)』から著者及び出版社の許可を得て抜粋したものです
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人間活動により大気中の温室効果ガスが増加すると、地表付近の平均気温が上昇します。
これが地球温暖化です。
地球のエネルギーバランスと地球温暖化
地球は太陽から降り注ぐ日射のエネルギーのうち約3割を反射し、約7割を吸収します。
一方、地球は宇宙に向けて赤外線というかたちでエネルギーを放出しています。
地球が吸収する日射のエネルギーと宇宙に放出する赤外線のエネルギーは、ほぼバランスしています。
もしも地球に温室効果がなければ、地表面から放出される赤外線がそのまま宇宙に抜けて地表面の平均温度は約−19℃になると考えられます[→図表1a]。
実際の地球には温室効果ガスが含まれています。
日射は温室効果ガスをほぼ素通りしますが、赤外線は温室効果ガスにより吸収され、再び放出されます。
放出されたものの一部は地表面に向かって戻っていきます。
これにより、地表面の平均温度は約14℃と高く保たれます[→図表1b]。
地球の温度は約1万年前に今の「間氷期」が始まってから、ほぼこの温度に保たれてきました。
18世紀の産業革命以降、温室効果ガスが増加してきています。
とくに影響が最大のものは、化石燃料(石炭、石油、天然ガス)の燃焼や森林伐採により排出される二酸化炭素(CO2)です。
これによって、地表面から放出される赤外線がより多く大気中の温室効果ガスに吸収され、より多く地表面に向かって戻ってくるため、地表面温度が上昇しています[→図表1c、図表2]。
これが地球温暖化です。


人間活動により排出された二酸化炭素の行方
海洋と陸上生態系は、大気とのあいだでCO2の交換を行っています。産業革命前には、CO2の交換はバランスしており、大気中のCO2濃度はほぼ一定の約280ppmに保たれてきました。
人間が森林伐採と化石燃料の燃焼するようになると、このバランスが崩れました。大気中のCO2濃度の増加にともない、海洋も陸上生態系もCO2を正味で大気から吸収しています。
人間活動により大気中に排出されるCO2の3割弱が海洋に、約3割が陸上生態系に吸収され、残りの5割弱が大気中濃度を増加させています[→図表3]。
大気中のCO2濃度は、長期的に増加を続けており、現在は産業革命前の1.5倍を超えています。


出典:『最新図説 脱炭素の論点 2025-2026』 第1章1 地球温暖化とは
著者:江守正多
脱炭素の論点とは?
地球温暖化が深刻化する昨今、「脱炭素」への理解をより深めて頂こうと、脱炭素を分かりやすく解説する書籍『最新図説 脱炭素の論点』の論点を連載しています。

図説 脱炭素の論点 2025-2026
出版社:旬報社
著者 :一般社団法人 共生エネルギー社会実装研究所 (編著)
堀尾 正靱(編著)他
発売日:2025年6月6日
詳しくは、旬報社公式サイトの書籍情報ページでご確認ください。
「脱炭素の論点」では、上記書籍から脱炭素に関わる様々なテーマをピックアップし、人類の脱炭素の必要性を体現したイメージキャラ「ゆでがえるくん」と一緒に脱炭素について学ぶことができます。

イメージキャラクター
ゆでがえるくん
ゆでがえるくん プロフィール
地球温暖化を甘く見て、ライフスタイルや経済の仕組みを変えられない人類をイメージして、AIが作り出したバーチャルなカエル。
徐々に鍋で茹でられているが、気がついていない。
人類と一緒に、脱炭素について勉強する必要性を感じている。
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■第12回 地球温暖化とは


