DEレポートNo.9
「崩壊する軍艦島~産業革命遺産の維持・保護への課題~」
【著者コメント】
今から7年ほど前に、かねてから上陸して見たかった軍艦島(正式名:端島)に行った事がありました。
そのシルエットがまるで軍艦のようなこの島は、内部が既に廃墟となった建物群で構成されており、独特の雰囲気を醸し出していました。
しかし、「明治日本の産業革命遺産」の1つとして世界文化遺産に登録されたこの軍艦島が、近年崩壊の危機に面しており、このままでは近い将来見られなくなる可能性があるため、この事実をお伝えすべく、ここにレポートをまとめました。
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1.あの廃墟感のあるシルエットが見られなくなる
- 世界遺産に登録された端島炭鉱(軍艦島)だが、このままだと2070年には建物と護岸が風化により崩壊する
- 通常の文化財は、元の姿をそのまま保存する事が原則だが、軍艦島に至っては元の建築物に戻すのではなく、現在の廃墟感のあるシルエットとして残す必要がある
- 軍艦島としてのシルエットを維持するための最も古い時代の建物は極限状態まで来ており、如何に補強を行なうかが課題となる
→ 維持・保護のカギを握るRC造(鉄筋コンクリート)だが、そこには別の目的も
2.原則通り復元された新品の建物には 何の価値もない
- 従来の方法で元通りに修復すると、文化財としての価値が無くなる為、現状の廃墟感を維持する為の新たな保存方法を確立する必要がある
- 軍艦島の維持保存のための整備を行うためには多額の資金が必要となり、平成30年度から30年間で110億3千万円と試算される
- 一方で、RC造(鉄筋コンクリート)の建物が風化してどのように崩れるかというプロセスにも大変貴重な価値があり、シルエットを維持していくための建物は残しつつ、問題の無い建物は崩壊を観察していきたい
→新たな維持・保護方法の確立へ そのための具体的な策とは
3.新たな維持・保護方法に向けての対策は始まっている
- 経済面に問題があり、国や市からの補助金頼みではなく、自助努力で資金を集める仕組みを作る
- 島に上陸して限られたコースを見学できるツアーが行われている。また映画やドラマの撮影等を通じて知名度が上がり話題性を得る事で投資にもつながる
- 新たな補修・保存技術確立のため、現在現地でのRCの暴露試験をはじめとする各種研究を重ねている。 またその為の資金を提供する事で、いずれ画期的な保存方法が確立される
→次世代に明治日本の産業革命遺産の大切さを伝えていく
【参考サイト】
・2070 年 端島炭坑跡(軍艦島)の建物と護岸が、このころ風化により崩壊する│未来年表
・軍艦島の保存に向けた展望と課題(PDF)│理大科学フォーラム2018
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DEレポートとは
「DEレポート」とは、環境やSDGsに係る社会問題を取り上げ、原因・背景から解決に向けた施策事例や将来の展望までを調査しコンパクトにまとめた報告書(レポート)です。
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