脱炭素の様々なテーマからピックアップして解説する『脱炭素の論点』。
第14回は、異常気象が当たり前になりつつある背景と、その一因について解説します。

※本記事の文章は『最新図説 脱炭素の論点 2025-2026(出版:旬報社)』から著者及び出版社の許可を得て抜粋したものです
脱炭素経営ドットコムでは、中小企業様の脱炭素経営への第一歩を支援しています。
これから脱炭素経営を始めたい中小企業様向けアクションプラン資料もございますので、ぜひご活用ください。
気候が暴れています。
世界各地で観測史上最も暑い夏が毎年繰り返され、豪雨も極端化し、冬も豪雪が頻発しています。
一因は地球温暖化に伴う北極温暖化です。
放置すれば、異常気象がニューノーマルな時代になります。
暴れる気候・異常気象がニューノーマル
気候が暴れ、異常気象が常態化しています。
将来気候がどう変わるかなど悠長なことを言っている暇はありません。
気候は変わってしまったあとでは、二酸化炭素を減らしても元の気候には戻りません。
これは気候学者の常識であり、気候危機は待った無しの危機で、二酸化炭素を減らすことは急務です。
異常気象は偏西風の異常な蛇行が主因
2023年の日本は未曾有の猛暑で、統計開始以降の最高記録を更新し続けました。
さらに2024年7月はその記録をあっさり上回る猛暑となりました。
日本は2010年以降、冷夏になった年がありません[→図表1、2]。
それ以前は、猛暑も冷夏も自然の揺らぎで、振り子のように「公平に」起こっていました。
近年の猛暑の傾向は異常ではなく「ニューノーマル」と考えたほうがいいでしょう。さらに記録的豪雨も頻度を増しています。
極端な気象は欧米でも発生し、これを説明するのが中緯度を西から東にめぐって流れる偏西風の激しい蛇行です。
北には寒気、南には暖気があり、その境目に吹くのが偏西風です。
偏西風を境に南北で気温が大きく異なります。
近年、偏西風が激しく蛇行する傾向があり、北に出っ張ったところにちょうど日本が位置しています[→図表3]。
そこに高気圧がとどまることで暑くなります。
偏西風が北に出っ張った場所は、ちょうど時計回りに風が吹きます。
つまりそこには時計回りの渦が隠れています。
高気圧は時計回りの渦であるため、北に蛇行した地域は、高気圧に覆われることになります。
同様に西ヨーロッパでも偏西風が北に出っ張るので暑くなります。
近年はヨーロッパと日本で偏西風が北に上がり、激しい偏西風の蛇行が増えています。


蛇行の一因は、北極の温暖化
近年の極域研究の成果によると、北極が温暖化すると、偏西風は蛇行しやすくなることがわかってきました。
偏西風は、北極と低緯度の温度差が大きくなると強まり、小さくなると弱まります。
北極圏は地球全体の温暖化をはるかに上回るスピードで温暖化しています。
氷河や海氷の激減がその代表格です[→図表4]。
これを北極温暖化加速と呼びます。その結果、北極と低緯度の温度差が減り、偏西風が遅くなり、蛇行が起こります。
偏西風の蛇行が世界中で激しくなり、日本やヨーロッパに猛暑がもたらされています。
遠い北極圏の温暖化は対岸の火事ではありません。
日本を極端に暑くさせる一因が北極の激しい温暖化なのです。
北極温暖化増幅は、日本の異常気象や、ヨーロッパの異常気象に連鎖的に影響するのです。


出典:『最新図説 脱炭素の論点 2025-2026』 第1章3 地球温暖化の影響
著者:立花義裕
脱炭素の論点とは?
地球温暖化が深刻化する昨今、「脱炭素」への理解をより深めて頂こうと、脱炭素を分かりやすく解説する書籍『最新図説 脱炭素の論点』の論点を連載しています。

図説 脱炭素の論点 2025-2026
出版社:旬報社
著者 :一般社団法人 共生エネルギー社会実装研究所 (編著)
堀尾 正靱(編著)他
発売日:2025年6月6日
詳しくは、旬報社公式サイトの書籍情報ページでご確認ください。
「脱炭素の論点」では、上記書籍から脱炭素に関わる様々なテーマをピックアップし、人類の脱炭素の必要性を体現したイメージキャラ「ゆでがえるくん」と一緒に脱炭素について学ぶことができます。

イメージキャラクター
ゆでがえるくん
ゆでがえるくん プロフィール
地球温暖化を甘く見て、ライフスタイルや経済の仕組みを変えられない人類をイメージして、AIが作り出したバーチャルなカエル。
徐々に鍋で茹でられているが、気がついていない。
人類と一緒に、脱炭素について勉強する必要性を感じている。


