私は63年生きてきて、大概のことには驚かなくなっていますが、数年前に牛のげっぷが地球温暖化を促進しているという都市伝説にも似た様々な話がまことしやかに言われている現実を知り、驚愕しました。今回はその真実に迫り、「げっぷ」の未来について調査及びレポートにまとめました。私は牛乳もステーキも大好きなので、今後も食べ続けられますように…。
1.牛などの家畜のげっぷに含まれるメタンガスは地球の温室効果ガスの4%を占める
- 現在、地球の平均気温は14度前後に保たれており、これは地球が温室効果ガスで覆われているお陰であるが、人間による化石燃料の燃焼によりガスが増加し、温度が上昇している。産業革命以前よりCO2濃度が47%増、平均気温は約1.09度上昇している
- 地球温暖化の問題は世界各地で起きる異常気象という形で現れる。異常気象はこの50年間で約5倍増加している。日本では昨年6月に東京で35度を超える猛暑日が9日続き、観測史上最長であった
- 異常気象による極端現象とは熱波、大雨、干ばつの頻度や強度が増してきて、食料不足、水産・農業生産減少等の多大な被害をもたらし、人命も失われる。国連が10か国1万人の若者に行った調査では75%の回答者が気候変動に違和感を感じている
- この地球温暖化をもたらすメタンガスの4%は何と牛等の家畜のげっぷから生じている
→ このままでは牛乳も飲めなくなるし、ステーキも食べられなくなる??
2.各国の農業系の研究機関によるメタンの排出量を下げる餌の研究
- 4%と言うとそれほど大きな数値に聞こえないかもしれないが、例えば全米一の牛乳の産地であるカルフォルニア州においては牛のげっぷはメタン排出量の45%を占める深刻な問題である
- 具体的な対策としては、海藻で作ったサプリメントを牛の餌に混ぜることで、乳牛のげっぷに含まれるメタン排出量が52%削減された手法がある。この手法をカルフォルニア州政府がいち早く承認した。この海藻をハワイのブルー・オーシャンズ・バーンズがタンクで量産する体制を整えている
- 同じカルフォルニア州にあるUniversity of California Davis校では肉牛向けのこの手法の活用を研究しており、昨年の同校の発表ではメタン排出量の82%削減されたことが示された
- この手法の有効性は確認されつつあるが、残る課題としては
①多くの乳牛や肉牛にこのサプリメントを与えるだけの海藻をどうやって大量生産するか
②海藻以外の原料で同様の効果があるサプリメントを生産できないか
という点がある。因みにナッツの搾りかすが研究されている
→減らすだけでなく、牛のげっぷ(メタン)自体を有効活用することは出来ないの?
3.げっぷに含まれるメタンを回収して、発電に活用できないか?
- 海藻等のサプリを餌に混ぜることで牛のげっぷを削減してもメタンガスはゼロにはならない。残ったメタンガスを発電に使用できないか?
- 牛のげっぷは人間のそれと異なり、ルーメン発酵から生じて、吸気に常時含まれている。一部では酸素マスクの様なものを牛に装着してメタンの回収を図る試みもあるが、メタン回収方法としては現実的とは思えない。又、牛の飼育スタイルが牛舎飼育ではなく、放牧であればメタンの回収は尚難しい
- 既に牛の糞尿から発生するメタンガスを発電に供することは広く実現しているが、げっぷのメタンについては直接発電に供するのは困難である
- それよりも、農業・畜産業は日本国内の規定では一定規模以下の法人は温室効果ガスの削減が義務化されておらず、同業界の企業や牧場が削減した温暖化ガスを排出権取引に絡めて、発電事業者に販売することで、脱炭素に貢献することが良いのではないか
→排出権取引を活用して、間接的に発電をクリーンに!