2022年07月01日

克服すべき「2025年の崖」とは?
DX推進を阻むレガシーシステムのことも解説

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「2025年の崖」というフレーズは、DX推進に携わっている人であれば、耳にしたことがあるのではないでしょうか。

経済産業省が2018年9月に発表した『DXレポート』内に記載されている言葉で、DXにおける課題が克服できなかった場合の状況を比喩したものです。

出典:経済産業省|DXレポート~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~(サマリー)

 

本記事では、2025年の崖から転落する…つまりDXの失敗を防ぐにはどうすればよいかをお伝えしていきます。
どうぞ最後までお付き合いください。

2025年の崖とは

経済産業省は、DX推進にあたって解決すべき課題が克服できない場合、DX実現の失敗ばかりでなく、2025年以降に年間で最大12兆円の経済損失が起こる可能性がある、と警鐘を鳴らしています。
「2025年の崖」は、このDXの失敗や経済損失といった悪いシナリオを、「崖」からの転落になぞらえたネーミングなのです。

2025年の崖から転落しないためには、DXの課題を乗り越えていかなければなりません。
では、経済産業省が指摘する課題とは一体何でしょうか。

それは「既存の基幹システムの複雑化・ブラックボックス化」です。
時代遅れの古びた仕組みの基幹システム、いわゆる「レガシーシステム」は、長年使用されているなかで複雑化してしまっており、内部構造が不明瞭になっていケースが多いのです。

レガシーシステムの問題点

レガシーシステムは、

  • 肥大化した独自のシステムとなり、属人化を加速させる
  • システム障害や故障が起きやすいうえに、復旧・修理には膨大なコストがかかる
  • 新しいシステムとの互換性がなく、データ活用・取り扱いが困難になる

といった問題を引き起こします。

業務プロセスを最適化し、データ活用を促進していくべきDXの取り組みにおいて、こういった問題点を抱えるレガシーシステムは、DX推進の大きな足かせとなるでしょう。

また、レガシーシステムには、老朽化が進むにつれ、保守・運用コストが膨れ上がっていくという問題もあります。
維持のためにはIT予算からコストを捻出しなければならず、新規IT投資に費用が割けなくなります。
そうすると新たなデジタル技術の導入が難しくなり、デジタル競争の敗者に。

このような問題に対処できずにいると、2025年の崖の回避は困難を極めるでしょう。
そして多大な損失に…という最悪のシナリオが待ち受けているのです。

システム刷新における問題

2025年の崖を回避するためには、この既存のレガシーシステムの刷新が急務です。
「システムの刷新」は、古びたシステムを新しいものに入れ替えることを指します。

急がねばならないシステム刷新ですが、既存システムの入れ替えには多くのリスクが存在します。
そのため、経営層が難色を示すという問題点も。

たしかに、長年使ってきたシステムを移行するとなると膨大な時間を要しますし、かかる費用も少なくないでしょう。
デジタル技術に知見のある人材の確保も難しく、結局DXの成功ビジョンを思い描けず後回しに…となってしまうことも珍しくない話です。

レガシーシステム放置の危険性

このような問題に対処できずにいると、2025年の崖を回避できず、多大な損失に…という最悪のシナリオを迎えてしまいます。
業務の継続や継承すらも困難になる恐れがあるのです。

また、多くのデジタルリスクにも晒されるでしょう。
システムトラブルによるデータの消失や流失といった事故の発生も懸念されます。

今、多くの企業がDXの必要性を理解し、対策に乗り出しています。
しかし、その対策に難航している企業が数多く存在しているのが日本の現状なのです。

このピンチを乗り越えるためには、どうすればよいのでしょうか。

この崖から転落を防ぐには

一番の解決策は、DXを実現させ、デジタル企業へと変革を遂げることにほかなりません。

DXをどう進めていくかの計画を策定したうえで、実現に向けた具体的な取り組みが必要となるでしょう。
ここで気を付けなければならない点は「データ・デジタル技術を使って新たな価値を創出する」というDXの本質を忘れないことです。
システムを入れ替え、デジタル技術を導入したとしても、それらをうまく活用し、ビジネスモデルを変えていかなければ意味がありません。

そのためにも、自社のDX推進における現状を把握しておきましょう。

経済産業省では『デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX 推進ガイドライン)』や『DX推進指標』など、企業がDX を実現させるための情報を発信しています。
この資料を参考にし、DX実現のために必要な体制や仕組みを学んだり、自社の現状や課題を理解したりすることも有効な手立てです。

こういった資料を参考にし、DX実現のために必要な体制や仕組みを学んだり、自社の現状や課題を理解したりすることも有効な手立てです。

▼参考
経済産業省|デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン|2022.5.25
経済産業省|DX推進指標|2022.5.25
経済産業省|「DX推進指標」とそのガイダンス|2022.5.25

新型コロナウイルス感染症の影響はあるのか

2020年12月に経済産業省が発表した『DXレポート2(中間取りまとめ)』では、コロナ禍で明らかになったDXの本質についての記載があります。

レポートでは、「新型コロナウイルス感染症のまん延はDX推進に様々な影響を与えた」ということが説明されています。
この未曽有の状況に陥ったことで、DX推進の壁となる「先送りしてきた課題」が明らかになったのです。

たとえば、紙への押印。
テレワーク中は契約書や申請書などへの押印ができず、ビジネスチャンスを逃してしまったり、押印のためだけに出社しなければならなかったり。
今まで当たり前だったフローが、DX阻害の要素だったことに気づかされる企業も多かったのではないでしょうか。
こういった企業のレガシーな文化や考えも変革が必要です。

またこのコロナ禍で、今までの社会の常識も変わりました。
会議や商談は対面が当たり前でしたが、感染防止のため、オンラインでのやり取りが一般的に。
半ば強制的なテレワーク制度の導入も、出社して仕事をすることが当然、いう文化を一変させました。

この苦しい状況下で、自社がDX途上企業であると認識できたり、根強く残っていたレガシー企業文化が顕在化したりなど、DXの課題が発掘できたのではないでしょうか。

多くの問題を明らかにした大規模なパンデミック。
しかし、このビジネス環境の変化をチャンスと捉え、DX実現へと駒を進めることができれば、2025年の崖を飛び越えることができるはずです。

参考:経済産業省|DXレポート2(中間取りまとめ)|2022.5.25

まとめ

差し迫った2025年の崖というリスク。
このリスクの回避、そしてDX実現のために、レガシーシステムおよび企業文化の刷新が急務です。

激化するデジタル競争に敗れないためにも、既存のシステムやアナログ業務の見直しを行なってみませんか。

このまま何の対策も講じなければ、DXの成功は望めないだけでなく、企業の存続すら危ぶまれます。
繰り返しになりますが、今一度DXの本質を理解したうえで、ビジネスモデル・経営の変革に取り組むことが重要です。

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